
「親の手紙は冷凍食品ではない」。こうしたプラカードを手に、韓国の養子縁組関連団体が抗議の声を上げた。場所は京畿道高陽市の物流倉庫。ここに、韓国政府が養子縁組記録文書を保管する臨時書庫を設けたことが、社会的な論争を呼んでいる。
養子縁組関連の記録を管理する韓国の政府機関、児童権利保障院は7月23日、京畿道高陽市に設けた「養子縁組記録文書臨時書庫」を報道陣に公開した。この書庫は冷凍倉庫として建てられた建物の一部を改装し、養子縁組記録専用に転用したもので、温度は21~22度、湿度は54~55%に維持されている。保管予定の記録には、養子の乳児期に着ていた肌着や、実親からの手紙、メモなどが含まれるという。
児童権利保障院のハン・ミョンエ本部長は「養子縁組記録館の設立に向けた妥当性調査を2023年に終えていたが、予算が削減されてしまい、やむを得ず物流倉庫を借りることになった」と語った。40カ所以上の物件を検討した末、記録物の重みに耐えられ、面積も十分なこの場所を選んだという。
問題となっているのは、この書庫が「冷凍倉庫だった建物」に設置されたという点だ。この建物は「高陽フレッシュロジ」と呼ばれ、隣接する韓国の大手EC企業クーパンの物流センターともつながっており、地元では「クーパン冷凍倉庫」とも呼ばれている。
これに対し養子縁組者団体は反発を強めている。
児童権利連帯のチョ・ミンホ代表は「親の思いが詰まった記録を、冷凍倉庫のような場所に保管すること自体が不誠実だ。保健福祉省と児童権利保障院がこの記録を守る能力が本当にあるのか疑わしい」と批判した。
団体側は「記録の品格を尊重すべきだ」と訴え、建物の1階で抗議デモを展開した。
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