2025 年 7月 24日 (木)
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韓国の農家を襲った「怪物級豪雨」…作物浸水で物価にも打撃

2025年7月17日、記録的豪雨による冠水で施設が水没した忠清南道牙山の現場(c)news1

韓国中南部を襲った歴史的な集中豪雨により、農作物の大規模な浸水被害が発生し、政府が災害復旧と生活物価対策に総力を挙げている。

企画財政省や農林畜産食品省の集計によると、7月16日から20日までの5日間に発生した農作物の浸水面積は2万8491ヘクタールに達した。これはソウル市の面積(約6万5000ヘクタール)の43.8%に相当し、サッカー場約3万9900面分に相当する規模だ。2024年7月に記録された浸水面積(約9450ヘクタール)と比較して3倍に迫る。

地域別では、忠清南道の被害が最も深刻で、全体の半数以上にあたる1万6709ヘクタールが浸水。とりわけ唐津(タンジン)、瑞山(ソサン)、礼山(イェサン)、洪城(ホンソン)などに被害が集中した。全羅南道(7612ヘクタール)、慶尚南道(3781ヘクタール)、光州広域市(400ヘクタール)でも被害が報告されている。

作物別では、稲が2万5065ヘクタールで最も多く、次いで水田栽培の大豆が1381ヘクタール、スイカ123ヘクタール、アサツキ94ヘクタール、メロン55ヘクタールなどが浸水被害に遭った。メロンの被害は全国の栽培面積の7.8%に達し、水田大豆(5.8%)、稲(3.6%)、イチゴ(1.9%)、スイカ(1.2%)なども高い浸水率を示している。

韓国政府は▽被災地域の特別災害地域指定▽仮設住宅支援▽緊急復旧のための機材レンタルや臨時施設設置――などに対して、随意契約や契約審査の免除など契約上の特例措置を講じる。また、地方財政や租税制度も総動員し、自家用車の全損や破損には自動車税を免除し、特別災害地域に指定された地域住民に対しては地方税も追加で減免する。

さらに、信用協同組合と連携して緊急資金融資も推進し、融資の満期延長や元利金返済猶予などの金融支援策も検討している。

物価面でも警戒が高まっている。特に被害が大きかった米、スイカ、唐辛子、エゴマの葉などの農産物価格上昇が予想されており、家計の食費負担をさらに押し上げかねない。加工食品や外食価格の上昇傾向が続いているなか、野菜価格まで跳ね上がれば、生活物価の管理は一層難航する。

6月の農産物価格指数は前年比で1.8%下落し、全体の消費者物価を0.07ポイント引き下げていたが、農産物価格が上昇に転じれば物価安定にも逆風となる。

統計庁によると、農畜水産物の価格は月3回の調査平均を反映するため、今回の豪雨の影響は今週の月末調査にのみ反映される。物流の遅延なども考慮すると、消費者物価に即時反映される可能性は低いが、今後段階的に影響が広がるとみられている。

被害の大きい稲は、排水が完了すれば生育に大きな支障は出ない見通しだが、旬を迎えるスイカやメロンについては価格上昇が続くと予測されている。

(c)news1

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