
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領と妻キム・ゴニ(金建希)氏をめぐる各種疑惑の真相を究明すべく発足した「3大特別検察」(内乱特検、キム・ゴニ特検、殉職海兵特検)が、本格捜査の開始からわずか1カ月で大統領夫妻に対する圧力を一気に強めている。
イ・ジェミョン(李在明)大統領によって2025年6月任命された3人の特別検察官のうち、最も早く動いたのは、いわゆる「12・3非常戒厳事態」を巡る内乱・外患事件を捜査する内乱特別検察だった。
内乱特検は6月18日の捜査開始とともに、キム・ヨンヒョン(金龍顕)前国防相らを相次いで拘束。さらに、ユン前大統領に対する令状請求を経て、2度にわたる召喚調査の末、わずか22日後の7月10日には再収監を実現させた。
一方、キム・ゴニ特検は、法律上の準備期間である20日間をフルに活用し、7月2日に現場事務所の開所式を経て正式捜査に着手。翌3日には、キム・ゴニ氏が関与したとされる株価操作疑惑に関連し、三扶土建本社などへの強制捜査を断行。3大特検の中で最初に強制捜査に踏み切った。
キム・ゴニ特検は現在、キム・ゴニ氏に関する「株価操作」「公認介入」「統一教会による遠征賭博」「楊平高速道路」など、4つの主要疑惑について同時並行で捜査中であり、側近や関係者に対する召喚や家宅捜索が続いている。
最近では、キム・ゴニ氏一家の「家政係」とされるキム・イェソン氏を対象に調べを進めており、野党「国民の力」所属のユン・サンヒョン議員ら政界関係者の召喚も計画されている。キム・ゴニ氏自身の召喚も時間の問題と見られる。
殉職海兵特検も同様に、7月2日に捜査を開始。早々にイム・ソングン元第1海兵師団長を召喚し、続いてパク・ジョンフン元海兵捜査団長の「抗命」事件控訴を取り下げ、捜査本格化に踏み切った。
同特検は、「VIP激怒説」──すなわちユン・ソンニョル氏が海兵殉職事件の初動捜査結果に激怒し、捜査に介入したとの疑惑──に焦点を当てており、キム・ゲファン元海兵隊司令官やキム・テヒョ元国家安保室第1次長を次々と召喚している。
7月11日には、ソウル市瑞草区のユン前大統領の自宅(アクロビスタ)に対する家宅捜索が実施され、前大統領が使用していた携帯電話が押収された。この現場にはキム・ゴニ氏も弁護士と同席していた。
さらに前日には、国防省を捜索し、イ・ジョンソプ元国防相が使用していた暗号携帯電話(ビファフォン)も押収された。ユン前大統領は、海兵殉職事件に関し、初動捜査が警察に引き継がれた直後、イ・ジョンソプ氏に個人携帯で直接連絡を取っていたとされ、その記録が暗号携帯に残されている可能性も指摘されている。
特検チームはいずれも、軍や政界の関係者に対する捜査を進めた後、ユン前大統領およびキム・ゴニ氏に対する取り調べに踏み切る構えを見せている。夫妻の包囲網が強化されつつある。
(c)news1