
かつて「ノージャパン運動」の象徴として韓国市場で売り上げが激減した日本産ビールが、再び市場1位の座を奪還しつつある。これを受けて日本のビールメーカー各社は、ブランドの定着と販売拡大を狙った積極的なマーケティング戦略を本格化させている。
韓国でアサヒビールを販売するロッテアサヒ酒類は、ガールズグループ「BLACKPINK(ブラックピンク)」を「アサヒスーパードライ」のグローバルアンバサダーに起用した。アジア圏はもちろん、欧米市場でのブランド影響力の拡大を見込んだ動きだ。
また、MZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)に人気のあるソウル・聖水洞(ソンスドン)に「アサヒトラベルバー」と名付けた体験型ポップアップストアも運営している。日本やフランス、オーストラリア、英国などをテーマにしたブランドブースやラウンジバーを設け、若年層との接点を増やしている。
一方、「サッポロ」「ヱビス」ビールを韓国に輸入・販売する「エムズベバレッジ」も、ブランディングを強化するために外食業界出身のマーケティング専門家をCMO(最高マーケティング責任者)に迎え、ブランドの再構築を進めている。
日本産ビールは2019年の「ノージャパン運動」で韓国市場からほぼ姿を消した。当時、ビールの輸入額は3976万ドルから一気に567万ドル(2020年)へと急落。しかし2022年には1448万ドル、2023年には5552万ドル、2024年には6745万ドルと回復基調に転じ、2025年も5月時点ですでに2817万ドルを記録し、好調を維持している。
このような回復の背景には、韓国国内での日本製品に対する拒否感の低下があるとされる。ユニクロや無印良品など他の日本ブランドの売り上げ回復もこの傾向を裏付けている。日本旅行の需要回復も後押しとなっている。
さらに、日本酒も人気が再燃しており、韓国の清酒輸入量は2020年の2379トンから2022年に4840トン、2023年には5684トンと毎年成長。今年5月時点の輸入量はすでに3000トンを超え、昨年を上回る見込みだ。
ある流通業関係者は「以前はノージャパン運動の影響で日本産の消費財は大きな打撃を受けたが、最近は日本製品への抵抗感が薄れている。こうした市場環境の変化に乗じて、日本の酒類メーカー各社は積極的に韓国市場での地位確立を図っている」と述べた。
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