
韓国の大手フードデリバリー企業「配達の民族(ベミン)」が提供する1人前向けメニューサービス「ハングルッ」で、メニュー価格を実際より高く設定してから割引表示する手法が見られ、二重価格表示として論議を呼んでいる。
韓国の流通業界によると、ベミンの「ハングルッ」カテゴリに登録されている多くのメニューには20~40%の割引率が適用されているが、実際には元の価格より高い価格を設定し、それを「定価」として割引している事例が相次いで確認された。
たとえば、ソウル・江南で麺類を提供するある店舗では、本来1万1600ウォンのうどんセットを「ハングルッ」では1万5800ウォンに価格を引き上げたうえで25%割引を適用し、1万1800ウォンとして販売していた。実質的には値上げと変わらない。
また別の店舗では、1万1900ウォンで販売していた豚骨スープごはんを、「定価」を1万5900ウォンと表示し、25%割引で元と同じ価格にしているケースも確認された。
問題は、「ハングルッ」カテゴリ内では1人前メニューの価格のみが確認でき、その店舗の通常メニューとの価格比較ができない点にある。消費者が元の価格を調べるには、店舗ページを個別に検索しなければならず、価格の正確性を把握しにくい状況だ。
業界では、「ハングルッ」は少額注文が中心で利益率が低く、割引しなければアプリ上位に表示されにくいため、店舗側が価格を調整する動機となっているとみる。ベミンは、「ハングルッ」で20%以上の割引を設定すれば、アプリのメイン画面やカテゴリの最上部に露出されやすいと加盟店に通知している。
こうした構造に対し、韓国の自営業者コミュニティでは「最低注文額なし、無料配送を装って価格を釣り上げるのが実情」「実際の値引き効果は少なく、手数料や配達費が重なり利益が残らない」との不満が出ている。
「ハングルッ」は、少量の料理を注文したい利用者向けに、最低注文金額なしで、5000ウォン以上1万2000ウォン以下の価格帯のメニューだけを登録できる仕組みだ。だが、すでに販売している通常メニューを架空の高価格に設定し、あたかも割引しているかのように見せるケースが横行している。
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