
韓国で人気ウェブ小説が月額読み放題のサブスクリプション型読書サービスに加わったことで、作家たちの反発が高まっている。作品の閲覧数が多いほど収益が増える従来の課金モデルに対し、定額読み放題では多く読まれても収益が確保しにくいためだ。
KTの読書サービス「ミリーの書斎」は6月30日、ウェブ小説のサブスクサービス「ミリーストーリー」を開始し、新作提供を始めた。これに先立ち、カカオページは人気の完結済みウェブ小説30作品余りをミリーの書斎に提供することにした。閲覧数が12億回を超える『テンパル』や『剣術名家の末息子』など、人気作品が対象となる。
ウェブ小説の業界では、プラットフォーム・出版社・作家が収益を分配する構造となっており、現在カカオページでは1話ごとに100ウォンを支払う方式を採っている。これにより、読まれる回数が増えるほど作家の収益も増える。
一方、ミリーの書斎では月額9900ウォン(新規会員は1万1900ウォン)で読み放題となっており、作品の閲覧が多くても作家に十分な収益が還元されにくい。作家側の説明によれば、ダウンロード数が25回を超えた場合に限って定価の80%が支払われるという。
この仕組みにより、作家は「読む人がいても収益にならない」状況に直面し、読者がコストを抑える目的でサブスクに流れることを懸念している。特にドラマ化やウェブ漫画化の可能性が高い人気作については、完結しても一定の需要があるため、作家にとっての打撃が大きい。
一部の作家は、こうしたプラットフォーム間の協業が今後のコンテンツサブスク化への布石になることを警戒している。6月28日には、国政企画委員会のオンライン政策提案サイト「すべての広場」に、ウェブ小説作家による定額制構造の改善を求める投稿があった。そこでは「1話100ウォン」の最低報酬保障と、サブスクにおける収益配分の透明化が訴えられた。
しかし、カカオページ側は「今回の協業は完結済み旧作に限ったイベント的提供で、定額制への転換とは関係がない」と否定した。
一方でミリーの書斎は、9月からウェブ漫画のサブスクサービスも開始する予定で、ストーリーコンテンツの領域を広げるため、出版社との連携を強化するとしている。
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