2025 年 7月 7日 (月)
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北朝鮮、元山葛麻観光地開業に「南北関係特需」狙いか…内外向けに成果誇示

北朝鮮・元山葛麻海岸観光地区=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮が7月1日に開業した「元山葛麻海岸観光地区」について、労働新聞を通じて連日大々的に宣伝を展開している。これは、国内向けには「人民大衆第一主義」を掲げるキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の業績を強調し、対外的には国際制裁の無力さと外貨獲得への意欲を示す狙いがあるとみられる。

葛麻観光地区は、江原道元山の海岸一帯に建設されたもので、2014年に最高人民会議常任委員会が元山―金剛山一帯を国際観光地帯に指定して以降、11年にわたり準備されてきた北朝鮮の長年の国家プロジェクトだ。当初は2019年までの完成を目指していたが、国際制裁や新型コロナウイルスの影響で延期を余儀なくされていた。

北朝鮮は今後、外国人観光客にも同観光地を開放する方針で、ロシア国営タス通信は、7月7日からロシア人観光団が8日間の行程で訪問予定だと報じている。ただ、ロシアからの継続的な観光客誘致には限界があるとされる。首都モスクワやサンクトペテルブルク周辺の富裕層は、15時間の長時間フライトが必要な北朝鮮を魅力的とは見なさないからだ。

中国においても、高級リゾートが国内に多数存在し、制限付きの団体観光以外に自由旅行が難しい元山地域が中長期的に観光地として定着する可能性は低いと見られている。

このように、外国人観光に頼った経済効果が見込めない中、北朝鮮は「全国から勤労者が海岸観光を楽しみに来ている」と自国民向けの士気高揚に努めている。あわせて、キム総書記の指導力と努力の成果として、国内の結束を図る意図もある。

北朝鮮専門メディア「38ノース」の上級研究員は「このような主要リゾート地の開業は、キム総書記の『人民優先政策』を強調するプロパガンダとして機能する」と指摘している。

韓国政府の対北朝鮮融和姿勢と相まって、今後は南北関係の特需を狙った動きも予想される。北朝鮮は年末または2026年初頭に開催予定の党大会において、金剛山を含む「有望な大型観光文化地区」の建設計画を発表する可能性がある。

金剛山では2022年以降、韓国側の旧施設の撤去を一方的に進めており、この地域の再開発と南北関係改善が結びつく可能性も否定できない。

また、韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権が対話路線を模索していることから、北朝鮮がこれに呼応する形で金剛山―元山地域を対話の足がかりに活用するのではとの見方も出ている。

ただ、梨花女子大学北韓学科のパク・ウォンゴン教授は「元山葛麻観光地区は初めから失敗が予定されていたプロジェクト。完全な失敗を避けるためには、韓国観光客を受け入れる以外にない」と断じている。

(c)news1

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