
北朝鮮の国営メディアが中国共産党創建記念日の報道において、昨年までとは異なる扱いを示し、関係修復への“かたずをのむ対応”に転じている可能性が指摘されている。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞は7月2日付の紙面2面で「党中央委員会が中国共産党中央委員会の創建104周年を迎え、花籠を送った」と報じた。
また、その花籠は6月30日、北朝鮮の駐中国大使から中国共産党中央委員会対外連絡部副部長に手渡されたと詳細に伝えた。
一方、昨年7月2日付では同様の花籠贈呈が紙面6面において「在中国北朝鮮大使館の職員が対外連絡部職員に贈った」と、報道の扱いが簡略化されていた。2014年の創建100周年時にはキム・ジョンウン(金正恩)総書記自身が習近平国家主席へ祝電を打った記事が1面に掲載された。
今回のような変化は劇的ではないものの、紙面の扱いや贈呈者・受領者の肩書きを詳細に記す態度には意味がある――と、外交情勢の変動を示唆する声もある。
昨年は中朝間の高官交流が限られていたため、今回の報道変化は関係改善の意向に基づく“探り”との分析がある。
実際、北朝鮮は最近、中国語試験(HSK)を6年ぶりに再開し、中国側はロシアとの声明で北朝鮮への一方的圧力停止を呼びかけ、連帯を強調するなど関係修復の兆しが見られる。また中国の王亜軍・駐北朝鮮大使が4月にキム・イルソン(金日成)主席生誕祭に出席し、中朝の歴史的友好関係を強調していた。
こうした動きの背景には、現在の国際情勢が両国の利害を一致させているという事情がある。
中国は米国との対抗姿勢の中で北朝鮮との関係維持が必要と考え、北朝鮮側も党創建80周年や党大会を控え、中国共産党からの支持を取り付ける必要があると見られる。
慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「トランプ政権と向き合う際、中国は北朝鮮を戦略的に活用しなければならない。北朝鮮との継続的なコミュニケーションの必要性を強く感じている。その一方で北朝鮮は中国に政治的支持や貿易・交流の面で関係修復を望んでいる」と分析する。
現時点では、報道上の形式的変化が関係改善への兆候と見られるものの、関係修復の“本格的再開”はまだ始まっておらず、北朝鮮は中国の意向を見極めながら慎重な対応を続けている可能性がある。
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