2000年代初め、3Dプリンターは「21世紀の錬金術師」と呼ばれた。自分が望む物を望む素材で作れるという点が浮き彫りになってからだ。多くの人々は3Dプリンターを、第4次産業革命をリードする製造革新のアイコンとして称賛した。期待が高かっただけに失望も大きかった。遅い出力速度と低い品質のためだ。
だが技術発展で出力時間が短くなり、品質が高くなり、3Dプリンターが多様な産業群で活躍している。簡単な部品を印刷するレベルを超えて、今は家を建て、食べ物まで作る。2020年370億ドル規模だったグローバル3Dプリンティング市場は、2024年840億ドルへと成長する見通しだ。
◇FDM・SLA・SLS…長所と短所が確実な3Dプリンティング技術
3Dプリンティング方式は大きく3つに分けられる。融用積層モデリング(FDM)、光硬化性樹脂造形方式(SLA)、選択的レーザー焼結(SLS)などだ。FDMはよく私たちが認識している3Dプリンティング方式だ。熱可塑性フィラメントに熱を加えて溶かし、押し出し、層が積み重なっていく方式だ。
FDMの長所は、素材の価格が安くて運用が容易だという点だ。実際、家庭に普及した3DプリンターのほとんどがFDM方式だ。短所は出力品質だ。熱で溶かしたフィラメントを押し出して一層ずつ積み上げていく方式なので、表面がでこぼこしている。後処理に多くの時間がかかる。出力時間も長い。
SLAは、レーザーで固まる性質を持つ光硬化性レジンを使用した3Dプリンティング技術だ。液体化した光硬化性レジンにレーザーを当てて、望む形の物体を積み上げて作る方式だ。SLAの長所は高い解像度と正確さだ。FDMと比べて表面が滑らかで、複雑な構造も簡単に出力できる。問題は素材だ。液体化されたレジンは毒物であるため、細心の管理が必要だ。また、レーザーを利用した設計方式のため、FDMと比べて運用と設計が難しいという点も短所に挙げられる。
SLSは粉末状の材料を薄く切った後、レーザーで加熱して溶かして固める方式だ。SLAと比べて多様な素材を利用できるという点が長所だ。粉末粒子さえ均一に作ることができれば、どんな素材でも利用できる。ただ、後処理が問題だ。溶けずに残った粉末を自分で取り除かなくてはならない。この時に出る超微小粒子は人体に致命的な影響を与えるので、細心の管理が必要だ。
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