2025 年 9月 11日 (木)
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78年ぶりの大転換へ──韓国「検察庁廃止」に検察内部から異例の反発

ソウル市瑞草区の大検察庁(c)news1

韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権が打ち出した検察庁廃止を柱とする政府組織改編案に対し、検察内部からは「副作用を無視した速度戦だ」との懸念が噴出している。

与党・共に民主党と政府は9月7日、検察庁を廃止し、新たに「公訴庁」と「重大犯罪捜査庁」を設置して起訴と捜査を分離する政府組織改編案を発表した。法案は9月25日に国会で処理される見通しで、成立すれば1年後に施行される。検察庁の廃止は1948年に司法から独立した以降、実に78年ぶりの大転換となる。

検察内部では「権限縮小は受け入れる」としつつも、拙速な進行に警戒感が強い。ある部長検事は「世界的に見ても起訴と捜査を完全分離する例は多くない。研究やシミュレーションを経ずに急ぎすぎだ。ムン・ジェイン(文在寅)政権の検・警捜査権調整の副作用すら解決されていない」と批判した。

別の部長検事も「内部の声は聞かれず、議論すらない。検察はただ息を潜めている」と吐露した。

焦点の一つとなっているのが補完捜査権(警察捜査への修正要求権)の廃止だ。検察幹部は「結局、捜査結果を警察から受け取るだけになれば、権限をすべて警察に委ねることになる。実質的に権限分離とは言えない」と指摘した。

現場の検察官からは士気低下を訴える声も出ている。ある部長検事は「すでに特別検察への派遣で人員不足に直面しているが、検察庁自体が廃止されれば士気はさらに下がる。多くの検事が目の前の捜査より自分の将来を考えるだろう」と述べた。

検察総長職務代行のノ・マンソク氏は8日、出勤時に記者団に対し「憲法に明記された検察が法律で改名される瀬戸際にある。すべては検察の過ちに起因することで、深く反省している」と語った。そのうえで「今後の検察改革は国民の視点で設計されるべきだ」と述べ、補完捜査権の存廃については「適切な時期に立場を示す」とした。

(c)news1

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