中国防疫当局が上海市の新型コロナウイルス感染による死亡者規模を少なく発表しているという疑惑が相次いでいる。基礎疾患のある感染者が死亡した場合、新型コロナ関連集計から除外する方法で統計をごまかしているという。2020年初め、新型コロナパンデミック(大流行)が拡散した湖北省武漢地域の感染者と死者の統計を出す際にも、同様の方法を取ったという指摘が出ている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)やCNN、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、中国国家衛生健康委員会は上海の新型コロナ死者数が計17人と集計されたと明らかにした。今月17日に初めて3人の死者が発生し、18、19両日にそれぞれ7人がコロナ19感染で命を落としたと説明した。これまでは上海で新型コロナ死者は1人も報告されていなかった。
しかし、この1カ月間で40万人以上が確認された上海市で新型コロナの死者が17人にとどまったのは理解しがたいという指摘が多い。特に、上海に先立ってオミクロンの変異の拡散で非常事態になった香港と比べると、上海市のコロナ死者統計が非常にずさんだということだ。
香港の累積感染者数は118万人、死者は9000人だった。上海市の人口は2500万人で、香港(740万人)の3倍以上であることから、中国防疫当局のコロナ統計は多くの疑問を生んだ。
◇国際基準を適用すれば、中国のコロナ死者、より多く
FTは一部の専門家の話として、中国政府がパンデミックが初期の2020年初めから新型コロナ統計を偽ってきたと強く批判した。英エコノミスト誌も、武漢の実際の死者は政府統計より3倍多いと報じた。米ワシントン大研究チームは、武漢死者数が中国当局の公式発表(当時2579人)より14倍多い3万6000人に達する可能性があるという研究結果を発表している。
上海市のコロナ死者が少ないのも、パンデミック初期の統計基準をそのまま適用したためと分析される。中国は一般的にコロナ死者を他国に比べて非常に狭い基準で分類しており、感染中に死亡する慢性疾患者の場合、コロナではなく他の疾患被害者に分類すると、NYTは指摘した。
コロナ死者の家族による証言が相次いでいることから、統計の数字が小さいということは事実だとみられる。上海のある事業家は「糖尿病を患っていた77歳の父親がコロナ陽性反応を見せ、2日後に死亡した。だがコロナ死者として記録されなかった」と伝えた。喘息のあった看護師も、コロナ確定後に死亡したが、コロナ関連統計からは外された。
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