
韓国のスターバックス・コリアが実施したプロモーションの文言が「過去の民主化弾圧を揶揄(やゆ)している」として批判を浴びている問題で、抗議の意思を示すため愛用の同社製タンブラーをゴミ箱に捨てる動画などを公開した南西部・光州(クァンジュ)市の若手市議に対し、保守系のネットユーザーらから激しい誹謗(ひぼう)中傷が殺到している。企業不祥事を発端とした論争が、ネット上での深刻な「理念対立」へと発展している実態を浮き彫りにしている。
ネット上で攻撃の標的となっているのは、光州市議会の最年少議員であるイ・ミョンノ市議(31)。イ・ミョンノ氏が19日、スターバックスとの決別を宣言してタンブラーを廃棄したテキスト型のコミュニティーアプリ「スレッズ」への投稿は、これまでに43万回以上閲覧され、400件を超えるコメントが寄せられた。
全南(チョンナム)大学の学生会長出身であるイ・ミョンノ氏は、2022年の地方選挙に27歳で初当選。廃棄したタンブラーは当選直後に自身への記念として購入し、使い捨て用品の削減のため4年間常に持ち歩いていた大切なものだった。しかし、同社が戦車を連想させる「タンクデー」や、1987年の拷問致死事件での警察の言い訳を揶揄した「机をドン」といった文言を使用していたことが発覚したため、「腹が立ち、許せない」として地域での本格的な不買運動に先駆けて廃棄に踏み切ったという。
投稿の直後から、イ・ミョンノ氏のアカウントには「(不買運動が)今回はどれくらい長続きするのか」「4年も同じものを使うなんて貧しいのか」「所属政党(進歩系野党)を見ればお察しだ」といった、冷やかしや保守系ユーザーからの反発コメントが殺到した。
イ・ミョンノ氏は現地メディアの取材に対し、「企業の行き過ぎた不祥事に批判の立場を表明しただけで、数万人がアカウントに押し寄せ、口にするのも憚(はばか)られるような侮辱発言で攻撃してきている」と現状を吐露。「企業側が率先してこうした殺伐とした雰囲気を作り出したことについて、重い責任を持って謝罪すべきだ。国レベルでも、5・18(光州事件)の歴史歪曲を厳重に処罰できるよう傍観してはならない」と強調した。
一方、地元の光州市議会も22日にスターバックス・コリアを糾弾する声明を発表し、組織的な批判に加わった。市議会は声明で「光州と5・18の歴史的意味を深刻に毀損したイベントに、怒りと痛恨の思いを禁じ得ない。民主主義を守るために戦車の前で血を流した市民たちに深い傷を与えた」と厳しく指摘した。
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