2100年には旧正月や秋夕(チュソク)といった韓国の名節の祭壇から、お供えの白菜やリンゴ、ナシなど国産農産物が消えるかもしれない。気候変動で農作物の栽培適地が北上し、大部分の品目が国内で栽培できなくなるからだ。代わりにクウシンサイやマンゴー、パパイヤなど熱帯・亜熱帯作物が主流になるとの観測が出ている。
農林畜産食品省と農村振興庁によると、2081~2100年の韓国の年間平均気温は現在より3.3~5.7度上昇する見込み。気温が1度上昇するごとに農作物の栽培適地は北へ81キロ移動するとされる。
すでに気候変動による栽培適地の北上は進行している。1912年から2020年で韓国の年間平均気温は1.6度上昇し、リンゴの栽培適地は慶尚北道(キョンサンブクト)から江原道(カンウォンド)へ移行しつつある。
この傾向が続けば2090年には韓国内でリンゴの栽培が不可能になる。ナシの栽培も2050年代から減少し始め、2090年代には消滅することになりそうだ。
国内で1年を通じて生産されてきた白菜も急激に生産量が減少する見通し。2020年の白菜の栽培面積は1万4803ヘクタールだったが、2090年代には0ヘクタールとなり、大根の栽培適地も2090年には完全に消失すると予測されている。
一方で、マンゴーやパパイヤなど熱帯作物の栽培適地は拡大。2023年の韓国内のアジア熱帯果樹の栽培面積は221.1ヘクタールで、5年で2倍近くに増加した。政府は今後、ゴーヤやオリーブ、パッションフルーツ、アボカド、コーヒーなど17種類の作物の栽培技術を研究し、持続可能な農業の発展を目指すとしている。
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