2026 年 4月 11日 (土)

年間アーカイブ 2025

韓国・前ファーストレディーのシャネルバッグ・ダイヤネックレス、法廷で初めて公開…裁判長「使用の痕跡ある」

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏が、シャーマン「乾真法師」として知られるチョン・ソンベ(全成培)氏を通じて世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側から受け取ったとされる高級ブランド品が初めて法廷で公開された。 ソウル中央地裁で11月12日、資本市場法違反などの罪に問われているキム・ゴニ氏の公判が開かれ、物証の検証を実施した。 この日、裁判所は特別検察チームと弁護団が見守る中で、白・黒・黄色のシャネルのバッグ3点、シャネルの靴1足、そしてグラフのダイヤモンドネックレスを約5分かけて一つ一つ検証した。 裁判長は白い布手袋をつけたうえでバッグの内部を開き、使用痕を確認した。また、自らバッグを回転させながらスマートフォンで撮影、グラフのネックレスもケースから取り出して実物を写真に収めた。 検証を終えた後、裁判長は「白いバッグは外側のバックルにビニールがなく、やや擦れたような使用感が見られた。内部のバックルとジッパーにはビニールがそのまま残っており、形を保つ布は入っていなかった」「靴の裏には使用感があった。ネックレスは固定されておらず、使用感については肉眼では確認できなかった」と述べた。 この日、証人として出廷したチョン・ソンベ氏は「キム・ゴニ氏にグラフのネックレスを渡したという以前の証言を維持する」と証言した。キム・ゴニ氏は11月5日の公判で、シャネルのバッグを2度受け取った事実は認めたが、グラフのネックレスの受け取りについては否定したうえで、「それらの贈り物は使用しておらず、すでに過去にすべてチョン・ソンベ氏へ返却した」と主張していた。 (c)news1

韓国・韓悳洙前首相、閣僚との夕食会3回で約164万円支出…1人当たり最大約5万円

韓国のハン・ドクス(韓悳洙)前首相が、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権下で国務委員(閣僚)との夕食懇談会を3回開き、業務推進費として総額1557万ウォン(約164万円)を使用していたことが11月12日、国会の資料から明らかになった。1人あたり最大49万ウォン(約5万1700円)に達する支出は、歴代首相と比べても高額だ。 共に民主党のキム・スンウォン議員室が、国会予算決算特別委員会を通じて国務調整室から提出を受けた資料によると、ハン前首相は2023年12月、ソウル市鍾路区三清洞の首相公館で3回にわたり国務委員との夕食懇談会を開催。その費用として計1557万ウォン(約164万円)を支出した。 具体的には、12月12日に開かれた第1回懇談会では、企画財政相、統一相、国防相ら閣僚18人が出席し、489万ウォン(約51万7000円)が使われた。12月15日の第2回には教育相や外相、行政安全相ら22人が出席し、574万ウォン(約60万6000円)を支出。12月18日の第3回には科学技術情報通信相、産業通商資源相、雇用労働相ら10人が出席し、494万ウォン(約52万2000円)が使われた。 1人当たりの支出額はおよそ26万~49万ウォン(約2万7500円〜5万1700円)にのぼり、いずれもソウル市内の高級ホテルのケータリングサービスが利用されていた。 業務推進費は、公務のために使用する経費であり、首相が50万ウォン(約5万2800円)以上を支出する場合は、使用目的や相手の所属・氏名などを証拠書類に明記する必要がある。ただし、1回あたりの使用上限は法律で定められていない。 過去の首相による夕食会費用と比較すると、ハン前首相の支出は顕著に高い。たとえば、チョン・セギュン(丁世均)氏が首相当時の2020年7月、外交通商省公館で国務委員21人と夕食を取った際には135万ウォン(約14万3000円)(1人あたり約6万ウォン=約6300円)を支出している。 イ・ナギョン(李洛淵)氏は2019年9月に退任する閣僚たちとの夕食にそれぞれ29万ウォン(約3万1000円)と41万ウォン(約4万3000円)、同年の新任閣僚らとの夕食には26万ウォン(約2万7500円)を使用した。キム・ブギョム(金富謙)氏は2021年9月の夕食会で約9万ウォン(約9500円)の業務推進費を支出したとされる。 (c)news1

「お金がないなら子どもを産むな?」…揺れる韓国「DINKs女性」の告白が波紋

ソウルに住む子どもを持たない共働き夫婦(DINKs)の女性が11月6日、オンラインコミュニティに「経済的に余裕がないなら子どもを持つべきでないのか」と投稿した。低出生率と経済不安に揺れる若年層の葛藤を象徴しているとして注目されている。 投稿者は夫と1.5ルームの集合住宅で暮らす共働きの女性。子どもを持たないことは結婚前から決めていた。それでも近所で親子連れを見かけると心が揺れ、迷いもある。 夫にはまだこの気持ちを話せていない。もし自分のわがままで子どもを産んだら苦労するのは目に見えており、子どもに申し訳ない。でも、将来2人きりで年を取っていくのも寂しい気がしている。 この投稿にあるネットユーザーは「貧しくても愛情を持って育てれば幸せな子に育つ」とコメント。一方で「苦労を知っているなら同じ境遇を子どもに繰り返すべきでない」と否定的な意見も見られた。 また「裕福な家庭の子どもが必ずしも幸せとは限らない」「経済力が全てではない」といった声もある半面、「子どもを育てる責任を軽く考えるべきでない」とする意見も寄せられている。 (c)news1

GPU26万枚を手にした韓国、官庁縦割り超えねば「AI先進国の道」はない [韓国記者コラム]

韓国がAI強国への跳躍に向けて、最大のボトルネックだった「演算資源不足」の壁を越えようとしている。米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が、グラフィック処理装置(GPU)26万枚を韓国に優先供給することを約束したからだ。だが、次の課題は「政策のボトルネック」――すなわち、省庁間の縦割り行政をどう乗り越えるかだ。 このうち5万枚は韓国政府が確保し、残る21万枚はサムスン、ネイバー、現代自動車、SKなどの主要大企業に割り当てられる。つまり、スタートアップ、中小企業、大学、研究機関が頼れる演算資源は、政府保有分の5万枚に限られる。 このGPUを「誰に」「どれだけ」「どのタイミングで」配分するかが、今後の韓国AIエコシステムの成否を左右する。 現在、韓国のAI関連政策は、科学技術情報通信省と産業通商資源省が分担している。科学技術情報通信省は基礎研究やインフラ整備、産業通商資源省は製造業など産業への応用をそれぞれ管轄する。 この「ツートラック構造」は、政策現場ではしばしば摩擦を生んでいる。ある官僚は、「産業省は技術を知らず、科学技術省は現場を知らない」と語る。両省庁の“言語”も、重視する時間軸も異なる。産業省は現実(現場)を重視し、科学技術省は未来(研究)に目を向けている。 2025年8月、両省の閣僚・次官がAI分野での協力強化を宣言した。だが、よく考えればこれはおかしな話だ。両者は毎週、国務会議(閣議)や次官会議で顔を合わせているにもかかわらず、改めて「協力を約束」しなければならなかった。それは、日常的な協力が機能していない証左でもある。 これまで両省は「開発は科学技術省、現場応用は産業省」という“リレー型R&D”を強調してきた。しかし現在のAI分野、とりわけロボットやフィジカルAI分野では、その方式はもはや通用しない。演算チップ、AIアルゴリズム、試作品の投入、現場データのフィードバック、再訓練という一連の工程がリアルタイムで同時進行する。従来の「まず作って、あとで使う」モデルは時代遅れとなっている。 さらに、GPUを大量に使用するには莫大な電力を消費するため、気候エネルギー環境省も政策調整に関わることとなる。こうした構造の複雑化を受けて、大統領直属の「国家AI戦略委員会」が設置されているが、民間を含めた「官民連携協議体」は過去にも設けられてきた。だが、問題は「スピード」だ。 韓国は今、追従者ではなく「先行者」になれるチャンスを手にしている。26万枚のGPUは、いわば“珠玉の真珠”だ。だが、それを「つなげる」ことができなければ、単なる“GPU倉庫”にすぎない。 「GPUはもう手に入った。残された課題は、それをどう活用するか」。このチャンスだけは、二度と逃してはならない。それが、今の韓国AI政策に向けた切実な警鐘である。【news1 キム・スンジュン記者】 (c)news1

ソウル・江南で激化する「薬局の縄張り争い」…苦情・暴行・告訴まで

ソウル・江南(カンナム)の整形外科密集地域で薬局同士の過熱した競争がトラブルへと発展している。店舗の看板や電光掲示板の規定違反を巡って相次ぐ通報・民願(行政への苦情)、さらには暴行事件や告訴合戦にまで発展しており、まさに「薬局の縄張り争い」が表面化している。 江南区庁によると、2025年に入ってから薬局の看板や案内板の位置、照明の明るさなどに関する苦情は20件以上寄せられている。多くは新沙洞(シンサドン)や狎鴎亭洞(アックジョンドン)など整形外科医院が集中するエリアからのものだ。 区庁の担当者は「美容医療を求めて訪れる患者が多いため、薬局同士の競争も激しく、互いに相手の違反を監視し合うような通報が常態化している」と述べ、近年では脱毛症治療薬をめぐる競争でも同様の事例が増えていると語った。 ある薬局では、わずか2カ月の間に看板や電光掲示板などを理由に4度も民願が入った。そのうち3回は問題なしと判断されたが、最終的に案内板のサイズについて是正勧告が出た。これを受けた店主が隣接薬局にも同様の問題があると主張し、そちらも点検対象になったという。 江南保健所の関係者は「古参の薬局が新規の薬局を牽制するため、集中的に通報を入れるケースが多い」と話している。一部では、知人を使って複数の苦情を装い行政機関に圧力をかける事例もあるという。 さらに一部では、通報の応酬が暴行や告訴事件にまで発展している。狎鴎亭のある大型病院ビル内では、対面で営業する2つの薬局が患者の取り合いから暴力沙汰に発展。ある薬局の店主は暴行容疑で1審で罰金刑を受け、現在は控訴中だ。 一方で被害を訴えた薬局の店主は、対立する薬局を違法な客引きや談合行為で告訴。さらに相手からも業務妨害と名誉毀損で告訴され、応酬が続いている。薬局の店主は「一度は無実の告訴で取り下げたが、違法な客引き行為については再び告訴した」と語っている。 韓国の薬事法では、薬局の外で患者を勧誘する行為は違法とされているが、現場では「勧誘専任のスタッフを雇うのは常識」とされ、法の網をくぐるような形で患者の争奪戦が繰り広げられている。 背景には、供給過多による過密状態がある。江南区の薬局数は2022年に489軒、2023年に499軒、そして2024年には初めて500軒を超え524軒に達した。患者数以上に薬局が乱立しており、過当競争は避けられない状況だ。 (c)MONEYTODAY

韓国・地方都市で初めて開催の「ラーメン祭り」…初日に9万人・揚げたて10万食が完売

「ラーメンの聖地」と自負する亀尾市(韓国慶尚北道)で7~9日、「亀尾ラーメン祭り」を開催した。3日間で約35万人の来場者を記録し、販売されたラーメンは48万個(約3億6000万ウォン分)にのぼるなど、大成功のうちに幕を閉じた。 祭り会場では、透明なビニールバッグにラーメンを入れて持ち歩く来場者の姿も多く見られた。 来場者が多かったにもかかわらず、各ブースではQRコードを用いた注文システムが導入され、さらに10台のキオスク(自動注文端末)も設置されたことで、混雑を最小限に抑えることができた。 亀尾警察署は混雑による事故を防ぐために約140人の人員を現地に配置。群衆の密集度を高所から確認する「あしなが警察官」を各所に配置し、歩行動線の中央に安全フェンスを設置するなど、秩序ある会場運営が行われた。 また、会場内には「フレッシュゾーン」と名付けられたごみ分別ステーションが各所に設けられ、来場者が自ら残飯や使い捨て容器などを分別して捨てるよう促された。 ソウルから車で5時間かけて1泊2日で訪れた40歳の女性来場者は「ラーメン祭りが話題で電車を調べたけど、満席だったので妹と車で来た。ラーメンの種類も豊富でライブも無料で楽しめて本当に幸せ」と語った。 大邱から訪れた29歳の男性も「ラーメン祭りが有名だと聞いて来たが、構成もしっかりしていて、珍しいラーメンが味わえて楽しい」と語った。 亀尾市のキム・ジャンホ市長は「今年の亀尾ラーメンフェスティバルは、市民が楽しみ、地域経済を活性化させる都市型フェスのモデルを築いた。今後はラーメンを軸に産業・文化・観光を融合させ、世界に通用するKフードフェスへと育てていく」と抱負を語った。 (c)news1

韓国の「核心鉱物」最大90%を中国に依存…専門家「今こそ鉱物スワップが必要」

米中のレアアース(希土類)をめぐる覇権争いが一時的に小康状態となる中、韓国が戦略産業に不可欠な「10大核心鉱物」の輸入を依然として中国に過度に依存している実態が明らかになった。リチウムや黒鉛、マンガンなどにおいて、輸入比率が80%を超えるものもあり、供給網の多角化と鉱物スワップ体制の整備が急務との指摘が相次いでいる。 対外経済政策研究院(KIEP)が9日に発表した報告書によると、2023年基準で韓国が中国から輸入している核心鉱物の比率は、リチウム81.1%、マンガン84.0%、黒鉛97.5%、酸化コバルト77.3%、希土類80%に達した。特に、希土類の中でも永磁石原料は97.9%、スカンジウム・イットリウム89.5%、希土類化合物69.5%と、極めて高い依存度が示された。 KIEPは、これらの鉱物が2次電池、エネルギー貯蔵装置(ESS)、医療機器、半導体など先端産業に不可欠であることから、仮に中国が輸出規制を強化すれば、短期的には原材料調達の遅延による製造コストの増大、長期的には供給網再編に伴う構造的コスト上昇が避けられないと分析している。 韓国政府は2023年、リチウムやコバルト、黒鉛など中国からの輸入依存を2030年までに50%台に引き下げる方針を打ち出していた。しかし、その達成には困難が予想されており、政府と民間、そして公共機関の連携が不可欠とされる。 対策としては、アフリカ・タンザニアのマヘンゲ黒鉛鉱山への投資をはじめ、韓国が2024年より議長国を務める「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」を通じた国際連携が進められている。マヘンゲ鉱山には、約600万トンの埋蔵量があり、韓国のポスコグループも戦略的パートナーとして参加している。 また、政府は2030年までに10大核心鉱物の再資源化率を20%に高める方針も示しており、原材料から製品までのバリューチェーン全体を網羅する「再資源化クラスター」の実証事業を推進している。再資源化施設や分析・認証体制の整備、民間企業向け支援パッケージも計画されている。 だがKIEPは、こうした計画にも限界があると指摘する。中国との競合を回避するためには、脱中国依存というよりも、中国企業と現地(鉱物保有国)で協力する実利的な戦略への転換が必要だと強調する。 KIEPのキム・ジュヘ研究員は「今後、バナジウムやアルミニウム、マグネシウムなど他の鉱物にまで中国の輸出規制が拡大する可能性がある。中国との関係を断つのではなく、他国での中国企業との協力体制を強化すべき」と提言した。 (c)news1

韓流新人グループによる“NewJeansコピー”訴訟…「表現の自由か誹謗中傷か」激化する法廷バトル

韓国の大手芸能事務所HYBE傘下のレーベル「BELIFT LAB」が、HYBE傘下ADORのミン・ヒジン前代表を相手取り起こしている損害賠償請求訴訟の第4回口頭弁論が11月14日、ソウル西部地裁で開かれた。 この訴訟は、ミン・ヒジン氏が2024年4月の記者会見などで、BELIFT LABのガールズグループILLIT(アイリット)について「(自身が手掛ける)NewJeans(ニュージーンズ)を模倣している」と主張したことに端を発する。 これに対し、BELIFT LAB側は「根拠のない誹謗中傷」として20億ウォン(約2億2000万円)の損害賠償を求め提訴。ミン・ヒジン氏も対抗して50億ウォン規模の反訴を起こしており、訴訟は双方の全面対立へと発展している。 11月14日の弁論でBELIFT LAB側は「ミン・ヒジン氏はILLITがデビューする前から“コピー疑惑”を根拠にHYBEやその関連レーベルを貶める計画を進めていた」と主張。実際に提出されたカカオトークのメッセージ記録では、ILLITのデビュー前から「音源買い占め疑惑」や「コピー攻撃」のフレームを仕掛ける話し合いがあったという。 また、ILLITがまだ知名度もファンダムも弱い新人グループであったことが、攻撃の対象に定められた理由だったとも指摘した。 さらに、ミン・ヒジン氏の「コピー疑惑」の根拠が、匿名掲示板の投稿や編集された短編動画(ショーツ)に基づいていたとし、「振り付けの一部を意図的に切り取れば、どんなグループもコピーに見える」と反論。実際にその編集手法を再現したプレゼンテーション(PT)映像も法廷で披露した。 加えて、ミン・ヒジン氏がNewJeansを特定YouTubeチャンネルに出演させ、「他グループ=模倣者」と連想させる演出をしたカカオトークの記録も証拠として提出された。 これに対し、ミン・ヒジン氏側は「カカオトークの一部抜粋は、本来の意図を歪曲している」と反論。「ILLITとNewJeansの類似性は、業界内でも広く共有されていた問題提起であり、ミン・ヒジン氏がそれを公にするのは表現の自由であり、責務でもある」と主張した。 BELIFT LABは、ミン・ヒジン氏の発言後にILLITが受けた損害についても言及。アルバムの追加生産が中止され、出演予定の番組がキャンセルされ、悪質な書き込みによりメンバーが精神的被害を受けたとし、それを裏付ける証拠も提出された。 ただ、裁判所はプライバシー保護の観点から、カカオトークの内容を含むPT資料の公開に制限を加えた。また、ミン・ヒジン氏側が当日になって書面を提出したことに対し、裁判所は「相手側が反論する時間を確保できない」として注意を促した。 (c)news1

韓国「ユネスコ無形文化遺産」パンソリ…在日3世唱者が挑む「250年伝統芸能」の継承

韓国伝統芸能「パンソリ」。声と物語を操って観客を魅了する総合芸術で、その精神はK-POPにも脈打っている。「250年の芸」を引き継ぐアン・ソンミン(安聖民)さんは日本で生まれ育った在日3世。「日本では学べない」と言われながらも韓国に渡航して修行し、「在日の自分にしかできない声」を追い求めてきた。「今日のソリは今日限り」を掲げ、祖先の歴史を声に乗せる「継承の旅」が続く。 ◇語り・歌・演技・身体表現が一体化した総合芸術 「ヨロブン、アンニョンハセヨ(みなさん、こんにちは)。アン・ソンミンと言います。コリアンタウンにお越しのみなさまに、韓国の伝統芸能パンソリを知ってもらいたいなと思って、飛び出てまいりました」 動画投稿サイト「ユーチューブ」に「安聖民コリアタウン路上ライブVOL.1」(2017年9月24日)がアップされている。その映像には、民族衣装で「路上ライブ」に臨むアン・ソンミンさんの姿が収められている。「パンソリをご存じの方は?」。アン・ソンミンさんがこう問いかける。手を挙げた人がいなかった。それでも、アン・ソンミンさんは「初めての方ばかり。嬉しいですね」と続け、「物語を歌ったり、語ったりする韓国の伝統芸能です。全部、韓国語ですが、どうぞ想像力を働かして、何を歌っているのかなと考えながら観てもらえればと思います」と伝えた。 パンソリは一人の唱者(ソリクン)が太鼓の伴奏(プク)に合わせ、物語を歌と語りで演じる語り芸だ。17~18世紀ごろに成立し250年以上の歴史を持つ。こんにちでも韓国国内で多くの継承者を生み、国際的な評価も高く、2003年にはユネスコの「人類の口承および無形遺産の傑作」に選定され、2008年からは無形文化遺産として登録されている。 その特色は、単なる声楽や演劇ではない。語り・歌・演技・身体表現が一体化した総合芸術である点にある。唱者は扇子一本を手に、人物の心情から場面描写までを声ひとつで表現する。時に低く荒々しい叫び、時に高らかな喜びを響かせ、観客はその声を通して物語の世界へと引き込まれていく。 パンソリの「パン」とは、もともと「人々が集まる場」を意味し、広場や市場などを指していた。「ソリ」は単なる「歌」ではなく、水音や風音、笑い声、泣き声までを含む広義の「声・音」を示す。したがってパンソリは、「多くの人が集う場で、声を尽くして物語を伝える芸能」と理解できる。観客が唱者に向けて「チュイムセ」と呼ばれる掛け声を発するのも特徴だ。笑い、涙し、励ましながら一つの物語を共有する――その場が持つ臨場感は、他の舞台芸術にない魅力を放つ。 パンソリ作品は「マダン」と呼ばれる一本の長編で構成される。最も古い文献資料から確認できるのは12マダン。現代まで伝承されている古典作品は▽春香歌(チュニャンガ、身分差を越えた恋と信念を描く恋愛叙事)▽沈清歌(シムチョンガ、盲目の父のために娘が身を投げる孝行物語)▽興甫歌(フンボガ、貧しい弟と強欲な兄の対照を描く民衆的教訓譚)▽水宮歌(スグンガ、スッポンとウサギが登場する風刺喜劇的な説話)▽赤壁歌(チョッピョッカ、『三国志演義』を題材にした武勇物語)――が「五大パンソリ」といわれる。 各作品は数時間に及び、時に8時間以上かけて完唱されることもある。物語には笑いも涙もふんだんに盛り込まれ、作り手や唱者によって構成が異なるため、「生きた芸能」として絶えず変化してきた。 ◇母が台所で口ずさんだ歌 アン・ソンミンさんは大阪市生野区育ち。幼いころ、母が台所で口ずさんだ歌を真似ていた記憶が、後にパンソリとの出会いとなった。「自分にも民族がある」と気づいた一方で、在日社会に根強く残る差別の現実は、アイデンティティへの問いを絶えず突きつけた。大学生のころ、民族文化牌「マダン」(大阪市生野区を拠点に活動していた在日グループ)に参加し、舞踊や民謡、演劇を通じて表現活動にのめり込む一方、「もっと歌を学びたい」という思いが募った。 「日本ではパンソリを学べない」。そう言われ続けながらも、9年間勤めた公立小学校の民族学級講師を辞し、学ぶ場を求めて韓国へ留学した。行き先は本場・全羅南道光州。屋上のプレハブで暮らし、橋の下で発声練習を繰り返した。それでも「パンソリを習えるだけで毎日が輝いていた」という。 やがて、国家重要無形文化財第5号・パンソリ「水宮歌」技能保有者のナム・ヘソン(南海星)師の門下に入る。サンコンブ(山中合宿)に参加した際、「イルボン(日本)」と呼ばれ、胸がチクチクしたこともあったが、ナム・ヘソン師は「在日のあなたにしかできないソリをしなさい」と励ました。この言葉は、アン・ソンミンさんの芸術人生の支柱となった。 プロ唱者と比して自身を厳しく見つめ、声への劣等感も抱いた。だが、ある公演で「沈清歌」を語った際、盲目の父を想う娘の痛切な声が観客の心と響き合い、舞台と客席の境が消えた。「自分にしか出せない声」があると確信できた瞬間だった。 現在は立命館大学で民族の言葉を教え、教育者としての顔も持つ。「一番大事なのは『伝えたい』という想い」だそうだ。舞台構成と同じく、学生が集中して学べる授業づくりを心がける。扇子かチョークか。道具は異なっても、文化を伝え、継ぐという使命は変わらない。 さらに、鼓手のチョ・リュンジャ(趙倫子)さんが脚本を書き、アン・ソンミンさんが旋律をつけるスタイルで、在日社会の歴史や記憶を題材にした創作パンソリにも力を注ぐ。「四月の物語」(済州4・3事件)、「海女たちのおしゃべり」「にんご」「水宮…歌?」など、植民地や分断、移住による「恨(ハン)」を声へと昇華する舞台は、観客の心を深く揺さぶっている。 アン・ソンミンさんは現在、大阪を拠点に北海道から九州まで全国で舞台を重ね、通算44回の「パンソリライブ」(2025年10月時点)を数える。2026年2月1日に大阪府吹田市で「水宮歌」の完唱公演を開くため、その準備を急ピッチで進めている。 モットーは「今日のソリは今日限り」だ。伝統を守りながら、その日出会う観客と物語を紡ぎ出し、二度と同じ舞台をつくらない。「生まれ変わってもまたソリの道を選ぶ」。師の言葉を胸に、故郷に帰れなかった祖父母の思い、葛藤を抱えた両親、若き日の自分自身の痛みを声に乗せる。 (c)KOREA WAVE

「青い珊瑚礁」松田聖子、デビュー45年で初の韓国ステージ

「永遠のアイドル」として知られる歌手・松田聖子が、デビュー45周年を記念して韓国で初の単独公演を開催する。デビュー45年で初の韓国ステージ。 韓国・仁川永宗島にある複合エンターテインメント施設「インスパイア・エンターテインメント・リゾート」は11月14日、独自の音楽イベント企画「インスパイア・コンサートシリーズ」の第7弾として、松田聖子の来韓公演を2026年2月22日にインスパイア・アリーナで開催すると発表した。 タイトルは『インスパイア・コンサートシリーズ #7:松田聖子45周年記念コンサートツアー Sing! Sing! Sing! in Korea』。これは埼玉スーパーアリーナや日本武道館で開催されるツアーの一環で、韓国公演も同ラインナップに加わることとなった。 松田聖子は1980年『裸足の季節』でデビュー。以後、『青い珊瑚礁』『風は秋色』『夏の扉』などの大ヒットを連発し、1980〜88年にはオリコンチャート24曲連続1位を達成。「永遠のアイドル」として今なお日本のみならずアジア圏で絶大な人気を誇る。 (c)news1
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