昨年の韓国大統領選挙で、ユン・ソンニョル(尹錫悦)氏は「女性家族省廃止」を掲げて大統領に当選し、話題になった。だが、新政権発足から1年経っても同省は存続している――。
◇「女性だけのための組織は必要ない」
女性家族省廃止を巡っては、20~30代男女の間で意見が割れる。
廃止の公約を支持する側は「韓国社会ではそれほど性差別が強いわけではなく、女性のための特別な省庁は必要ない」という立場だ。女性家族省で施行していた政策は、他の部署で十分に消化できるという考えだ。
「女性家族省がする仕事のほとんどは、保健福祉省や行政安全省などで十分に対応できそうだ。女性専用駐車場、女性割当制は性差別を助長するだけで、なぜ必要なのかわからない」(大手企業社員の男性32歳)
「女性に対する差別がなくなり、男女平等が進む中、女性だけのための組織は必要ない。ただ、女性家族省を直ちになくせば反発・混乱を伴う可能性があり、移行期間を置いて徐々に縮小する方が良いと思う」(予備役中佐の男性28歳)
◇「性差別に起因する社会問題が依然として残る」
一方、廃止に反対する側は「性差別に起因する社会問題が依然として残っている。関連する問題を解決するために女性家族省は必要だ」と主張する。
「女性家族省廃止を訴える人たちは『女性はもはや社会的弱者ではなく、女性政策によって男性がむしろ弱者になる』と言う。依然として女性を性的対象化とするような人たちの考えだ。女性が社会的弱者であることがわからないだけだ」(大学生の男性24歳)
会社員の女性(29)は、韓国で2018~20年に起きた「n番部屋」事件を引き合いに出して、次のように指摘した。
「『n番部屋』事件のようなデジタル性犯罪など、女性を相手にした犯罪が多く、その手法はさらに悪質になっている。女性家族省廃止ではなく、予算拡充を通じて女性家族省の専門性をより高め、役割を拡大する方向に進むべきだ」
ある男性がSNS上で女性の個人情報をだまし取り、それをさらすと脅して、わいせつな動画・画像を要求し、それらを対話アプリのチャットルーム「n番部屋」で有料で閲覧させた――これがn番部屋事件だ。
(つづく)
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