韓国の不動産競売市場が不穏な様相を見せている。銀行から住宅を担保に借りた資金を期限までに返済できず、裁判所の競売にかけられる「任意競売」物件が急増している。
任意競売とは、不動産を担保に借りた債務者が、借入金や利息を期限内に返済できない場合、債権者が不動産を競売にかける手続きだ。最近の高金利の長期化により、返済が滞る事例が増加し、比較的住宅価格が低い地域を中心に競売物件が増えていると分析されている。
今年、借入金を返済できず競売にかけられた不動産が、2013年以来の最大値を記録する見通しだ。裁判所などによると、今年1~11月に不動産(宅地・建物・集合建物)の任意競売開始決定登記の申請件数は12万9703件に達した。12月の1カ月を残しているにもかかわらず、すでに昨年同時期の累積件数が2013年(14万8701件)以来最大規模となっている。
任意競売はここ2年間で急増している。2021年の6万6248件、2022年の6万5586件だった任意競売は、昨年10万5614件に達し、前年比61%急増した。特に今年は11月までの件数が前年同期比35%増加し、2年間で約2倍に跳ね上がった。
具体的には、マンションやオフィステル、多世帯住宅、集合商業施設など、主に住宅施設が大部分を占める「集合建物」の任意競売の増加が顕著だった。今年の累積件数は5万1853件で、前年同期(3万5149件)比48%増加した。地域別では、京畿道が1万6094件で全体の3分の1を占め最も多く、続いて釜山(6428件)、ソウル(5466件)、仁川(3820件)などが後に続いた。
競売市場では、しばらく競売物件が増加し続けるとの見通しが出ている。市場が好況だった時期に担保融資を受けて不動産を購入した、いわゆる「ヨンクル(魂までかき集めて借金する投資)」投資家が、高騰した利子を耐えきれず競売に流れる物件が増加しているからだ。
任意競売は、金融会社が3カ月以上元利金の返済が滞ると即座に実行可能だ。法的手続きを経ずに住宅を競売にかけることができる。
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