「6年間、中国で禁止されていた韓国映画サービスが、中国OTT(オンライン動画サービス)で再開した」。韓国大統領室が、「限韓令」(中国内の韓流禁止令)解除されたことを伝えると、「K-コンテンツ」への期待が高まり、株式市場が好反応した。2017年、最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」を配備したことを受け、中国が限韓令を発令。約6年ぶりにK-ドラマやゲーム、ウェブトゥーン、ウェブ小説の中国への公式輸出に向け、道が開かれることになる。
韓国株式市場の総合株価指数(KOSPI、コスピ)は11月23日、コンテンツ制作を手掛けるキダリスタジオが前日比1970ウォン(29.94%)値上がりし、8550ウォンで取引を終えた。韓国証券先物取引所(KRX)の新興株式市場(KOSDAQ、コスダック)でも、ドラマ制作のスタジオドラゴンが11.77%上がり、7万5000ウォンで取引を終了した。他には、人気ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の製作会社「AStory(エーストーリー)」(8.94%)、CJENM(7.41%)など、韓国ドラマや映画、ウェブトゥーンコンテンツ関連の業者が軒並み、株価を伸ばした。
ゲーム業界も好況で、コスダックではデヴシスターズが11.66%急騰し、ウィメイド(6.74%)、ネオウィズホールディングス(6.46%)、カカオゲームズ(6.76%)なども大幅に上昇した。
SM、JYPEnt、HYBE(ハイブ)など広い意味でのK-コンテンツ関連業種も株価が急騰。コンテンツと関連したコスダック銘柄が急上昇した。
キム・ウネ(金恩慧)大統領室広報首席秘書官はこのほど、「韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と中国の習近平国家主席との約3年ぶりの首脳会談で、協力の扉が開かれ、新しい韓中関係発展の意志を再確認した。6年間、中国で正式輸入が禁止されていた韓国映画サービスが中国OTTで開始された」と明らかにした。
首脳会談を前にして、中国の3大OTTの一つ「騰訊視頻(テンセントビデオ)」では、韓国映画「川辺のホテル」がサプライズ公開された。2018年に韓国内で公開されたホン・サンス監督による作品で、俳優キム・ミニ、キ・ジュボン、クォン・ヘヒョ、ソン・ソンミ、ユ・ジュンサンらが出演している。
2017年に限韓令が始まる前、中国で放映されていた韓国番組の比率は30%近かったが、限韓令後は5%水準まで急落。中国向けのドラマコンテンツの輸出金額は2016年には1100億ウォンまで成長したが、2020年には250億ウォンに減少した。
一方で、中国以外の海外向けのOTT販売は上昇を続けており、2016年の3400億ウォンから2020年の4800億ウォンに増加している。
昨年以降、ネットフリックスなど、世界レベルでのOTT競争が過熱している。K-ドラマや映画、ウェブトゥーン、ウェブ小説など無形資産の価値が高くなり、K-コンテンツ企業の成長幅が広がり始めた。
ハイ投資証券のイ・サンホン研究委員は「世界市場1位のネットフリックスをはじめアマゾンプライムビデオ、ディズニープラス、アップルTVプラスなど、ライバル会社が独自のコンテンツを売りに相次いで進出している。厳しい競争環境の中では、差別化されたコンテンツが、既存の加入者の維持、新規加入者の増加につなげる重要なカギになるだろう」と語った。
K-ドラマはコストパフォーマンスと高い品質、韓流という独自性の3拍子を備えていると好評を得ている。グローバルなOTT企業がアジアで成長するために必須のコンテンツと言える。
(c)MONEYTODAY