
「もうすぐです。押しつぶされた部分を急に動かすとショックが来ますから慎重に救助します。しっかり意識を保ってください」
こう声をかけたのは韓国京畿道(キョンギド)の特殊対応団の消防士イ・ジュンヒさん。新安山(シナンサン)線の鉄道地下トンネル崩落事故の現場で、下半身ががれきに埋まった20代のショベルカー運転手の男性を励ましているのだ。
事故は11日午後3時13分ごろ、京畿道光明市で発生した。ポスコ建設が施工中の地下トンネルが崩落し、作業員2人が閉じ込められた。
下請け業者の運転は地下約30メートルの地点で孤立。救助隊が午後5時過ぎに運転手の声を確認し、午後10時16分ごろ、コンクリートや鉄筋、土砂がまじったがれきの中にいるのを見つけた。
京畿道消防当局はクレーンで200キロを超える上部構造物を取り除いてスペースを確保。イ・ジュンヒ消防士ら2人が降下した。
2人はスコップなどで少しずつ地面を掘り進み、電線や鉄筋を切断。6時間にわたる作業の末、下半身ががれきに埋もれ、身動きが取れない運転手と対面した。救助隊はブランケットで体を包んだ後、点滴を施し、チョコレート牛乳を飲ませたという。
そして12日午前4時27分、恐怖や痛みに13時間耐え抜いた運転手は救助隊員と共に無事地上に戻った。運転手は何度も隊員に感謝し、現在は搬送先の病院で治療を受けている。
一方、同じ事故で行方不明となったポスコ建設の50代社員は所在が確認されていない。
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