2025 年 12月 7日 (日)
ホーム特集SDGs~韓国の取り組み1200万人動員の韓国プロ野球…その裏で拡大する“プラスチックごみの山”

1200万人動員の韓国プロ野球…その裏で拡大する“プラスチックごみの山”

2014年、オレンジ色のビニール袋を頭にかぶり応援する観客。現在は使い捨て品規制で見られなくなった光景だ(c)news1

韓国プロ野球(KBO)が気候エネルギー環境省と締結した「使い捨て品のない野球場」協約から2年が経過したが、その成果は半分にとどまった。応援文化の改善や一部球場での再利用カップ導入といった進展はあったものの、プラスチックカップやペットボトルなどの主要なごみ問題は依然として解決されていない。また、球団ごとの取り組み格差も大きい。

国会気候エネルギー環境労働委員会のパク・ホンベ(共に民主党)院内副代表室が入手した監査資料によると、協約締結後、球場内での使い捨てカップ使用量はいったん減少したものの、観客数の急増により再び増加したことが明らかになった。

2022年には約400万個と推定された使用量が、協約初年度の2023年には262万個まで減少。しかし、2024年には観客数が1089万人に達し、再び335万個に増加。使い捨て容器全体では195万9775個から350万5534個へと79%増加した。2025年の観客動員数が1200万人を突破したことで、ごみ量はさらに増加したとみられる。

応援用のビニール袋やプラスチック製バルーンは姿を消したが、観客の増加により「ごみの山」は再び膨らんでいるのが現状だ。

再利用容器を導入した球場は、蚕室野球場(LG・斗山)、仁川SSGランダースフィールド、水原KTウィズパーク、大田ハンファ生命イーグルスパーク、ソウル高尺スカイドームの5か所。

一方で、ロッテとKIAは、洗浄インフラ不足や回収スペースの制約を理由に導入を見送っている。導入済みの球場でも、主にビールカップなど一部の容器に限定されており、全面的な転換には至っていない。

分別回収体制にも課題が残る。キウム・ヒーローズは昨年まで透明ペットボトルを分別していなかったが、今年からようやく実施。一方、ロッテ・ジャイアンツは観客の安全を理由に座席内分別をせず、全てのごみをまとめて回収後、外部で選別する方式を続けている。大規模退場時の混雑回避策として理解はできるものの、協約の趣旨とはかけ離れているとの批判が出ている。

一方、気候省の対応は依然として「原則的姿勢」にとどまっている。担当者は「球場ごとに条件が異なるため、一律の規制は難しい」と述べ、予算支援と「奨励」レベルの対応にとどまっている。強制規定や監督条項はなく、実績評価表の項目も「カップ・容器削減」と曖昧で、最低基準を満たせば「実施」と見なされる仕組みのため、実際のごみ総量はむしろ増加している。

結果として、分別回収体制は球団の自主性に委ねられ、政府もユン・ソンニョル(尹錫悦)前政権下の「自律協約」に依存するのみで、根本的な解決意志を示せなかった。専門家は、「善意に頼るキャンペーンでは限界がある。法と制度、社会インフラに基づく政策支援がなければ“ごみのない球場”は実現しない」と指摘している。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular