韓国の無料通話・メッセージアプリ「カカオトーク」がサービス開始してから12周年を迎えた。始まりはメッセンジャーだったが、今は国民生活のプラットフォームになった。障害が発生すれば、日常生活が止まるほどだ。
2010年3月18日は、カカオトークがウェブストアで初めて公開された日だ。カカオトークの登場は、韓国のメッセージ文化を根本的に変えた。有料で文字数制限まであったSMSとは異なり、カカオトークは無料でメッセージをやり取りすることができるようになった。
カカオトーク「グループチャット」も差別化された要素だった。メッセージと違って、カカオトークは、友人や家族、同僚が一緒にリアルタイムで会話できるようにした。複雑な手続きなしに、携帯電話のアドレス帳と連動させ、忘れていた友人を探すこともできる。
こうした特徴から、カカオトークは公開から1年で加入者1000万人、翌年には4000万人を超え、「国民的メッセンジャー」というタイトルを獲得することになる。
カカオトークが韓国のチャット文化に躍動感を与える装置があった。それは「絵文字」だ。カカオは2011年11月、絵文字サービスを開始した。当時6商品で始まった絵文字サービスは、2020年には9700を突破した。
この過程で「絵文字作家」という新しい職業が登場した。ウェブトゥーン(デジタルコミック)やキャラクター作家にとっては新たな収入源となり、普通の人にとっては、作家という夢を実現する登竜門となり、「創作と収益」がつながるプラットフォームとして発展した。
カカオトークは、チャットの形を多様化する試みも地道に続けてきた。具体的には▽情報保護を強化した「秘密チャット」▽コンテンツリポジトリ(ファイルや履歴などを保管する場所)用途の「私とのチャット」▽関心事を対話する「オープンチャット」――を通じてチャットの活用性を高めた。
カカオトークは、単なる「メッセンジャー」にとどまらなかった。「利用者の暮らしをより便利にする」という目標のもと、ショッピング、決済、音楽・ゲーム、金融など、多様な領域のサービスを拡大した。
代表的な例が「カカオトークプレゼント」だ。これは相手の住所がわからなくてもプレゼントを贈ることができるシステムで、この差別化によって韓国のプレゼント文化に新しいトレンドを作り出した。2020年時点で累積利用者数も3800万人に迫る。
公認認証書や口座番号なしで、知人に送金できるようにした「カカオペイ」もある。街中でタクシーを拾わなくても済むようにサポートする「カカオタクシー」、頼母子講の資金を貯められるようサポートする「カカオバンク通帳」も欠かせない。
12歳になったカカオは本格的に「シーズン2」に突入する。そのキーワードは「ビヨンド・モバイル」と「ビヨンド・コリア」。簡単に言えば、モバイルを超えてメタバースへ、韓国を超えてグローバルへ進むという意味だ。
カカオはシーズン2の序幕を知らせる「テキストメタバース」という新しい概念を提示した。カカオのナムグン・フン代表理事内定者は今年2月、「テキストを基盤にメタバースを作っていく案について内部で議論している」と述べた。
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