
10年前に300万ウォン(約30万円)で買えた高級バッグが、今や1000万ウォン(約100万円)を超える価格に跳ね上がった。中古車1台と同等の価格であり、一般消費者にとっては手が届かない存在になりつつある。
エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネル、ディオールといったブランドは、ここ10年間で製品価格が最大200%以上上昇。年間平均で20%、物価上昇率の約11倍に達している。
例えば、エルメスのバーキン30cmは2015年の1397万ウォンから2025年には2011万ウォンに、シャネルのクラシックミディアムは538万ウォンから1660万ウォンと約3倍の価格になった。
価格上昇の理由として業界は原材料費や物流費、人件費の上昇を挙げる。特にゴールドやレザー、上質な繊維などの価格は近年急騰しており、ロシアのウクライナ侵攻の影響も無視できない。
しかしながら、専門家は価格高騰の一因として「ラグジュアリーのイメージ戦略」が強く作用していると指摘する。価格が高ければ高いほど、消費者の間で「選ばれし者」の象徴としての価値が高まり、結果としてブランドのステータスも上がる。
「今日が一番安い」という心理が定着し、開店前から並ぶ「オープンラン」や転売による投資ブームなど、ラグジュアリー市場は過熱の一途をたどる。
仁荷大学のイ・ウンヒ教授は「ブランド品は生活必需品ではないため、政府が価格に介入するのは難しい。社会貢献や寄付など、ブランドにふさわしい社会的責任を求めるべきだ」と提言する。
また「極端な価格上昇は消費者への敬意を欠く行為であり、ラグジュアリーブランドとして自律的な健全経営の努力が求められる」と警告した。
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