
韓国の小児・青少年の肥満率が過去10年間で全世代にわたり上昇した。とりわけ16~18歳では2014年の14.8%から2023年には19%へと4.2ポイント増加した。教育省の調査でも、昨年の小・中・高校生の約3人に1人が肥満群(過体重+肥満)に属することが確認されており、小児肥満問題の深刻さが浮き彫りになっている。
大韓肥満学会によると、2014~2023年の肥満有病率は6~9歳で9%から12.7%、10~12歳で7.6%から12.5%、13~15歳で8.9%から12.1%、16~18歳で14.8%から19%に増加した。学会保険法制委員会のイ・チョンウ幹事は「統計上は一時的に減少傾向が見える時期もあるが、成人肥満が増加している以上、小児・青少年肥満も結果的には増加する可能性が高い」と指摘。親のどちらかがBMI30以上の肥満であれば、子どもが肥満になる確率は5倍以上に跳ね上がるという。
精神健康の面でも肥満は無視できない要因だ。米国医師協会の学術誌「JAMAネットワーク」に発表された研究では、8~11歳の児童207人を対象に体脂肪率や内臓脂肪量と不安・うつ症状の関連を調査した結果、内臓脂肪が多いほど不安やうつ症状が強く、逆に筋肉量や体力が高いほど不安・うつは低いことが示された。
にもかかわらず小児肥満は社会的関心が薄く、成人肥満に比べ軽視されがちだ。イ・チョンウ幹事は「外見上は標準体重に見えても実際は肥満である場合も多く、親も肥満であることが多いため危機意識が乏しい。小児期に肥満になると脂肪細胞が増え、体重を落としても脂肪量が減るだけで細胞数は減らず、成人肥満に必然的につながる」と警鐘を鳴らした。
イ・ジェミョン(李在明)政権は8月発表した「国政運営5カ年計画(案)」に「小児肥満の国家的管理体制構築」を盛り込み、地域ベースでの慢性疾患管理を強化する方針を打ち出した。だが専門家は「肥満治療薬の保険適用や精神疾患と連動した支援など具体的な施策が欠かせない」と口をそろえる。現在も保健福祉省や教育省が小児肥満予防策を進めてはいるが、実効性あるモニタリングや評価は不足しているのが現状だ。
大韓肥満学会小児青少年委員会のホン・ヨンヒ理事は「栄養相談さえ保険支援がなく実施が難しいため、自分が肥満であることを認識できない子どもも多い。治療薬の保険適用が難しければ、栄養相談だけでも制度化する必要がある。肥満と精神健康は密接に関連しているため、国家的な統合管理が極めて重要な課題だ」と強調した。
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