韓国の製薬バイオ業界が「デジタル転換時代」を迎えた。 新薬開発技術にデジタルを導入して、ワクチン生産期間を短縮したり、患者の薬の飲みやすさを向上させたりする新たな可能性が開かれている。
業界関係者によると、最近「デジタルメディスン」(DM)に続き、「デジタルワクチン」(DV)という概念まで登場している。
デジタルメディスンは超小型信号装置を組み込んだ医薬品。
デジタルワクチンとはウイルスをデジタルコード化して生産した新しいワクチンを意味する。
実際にデジタルメディスンは多国籍製薬会社である日本の大塚製薬が2017年11月に米国食品医薬局(FDA)から許可を受けている。許可された医薬品は、統合失調症治療薬「アビリファイマイサイト」(Abilify MyCite KIT)だ。
この薬は錠剤の中に超小型センサーチップを搭載することで、医師や患者がスマートフォンやパソコンで薬を服用しているかどうかを確認できるのが特徴だ。錠剤に搭載されたチップは胃液に接触すると電気信号を出し、一定時間経てば体内で自然分解される。
デジタルワクチンは新型コロナウイルス感染のような世界的なパンデミックに活用できる技術だ。ウイルス抗原の遺伝子配列情報をデジタルに転換し、世界どこでもいち早くワクチンを生産できるようにする。
この技術を活用すればウイルス培養から分離、臨床試験など10~15年を要する従来までのワクチン開発の所要期間を最低1年以内に短縮できるものと推定される。
既存の抗原合成ワクチンは、多様なウイルスに生産対応ができるという長所がある。だが、各抗原に対する生産過程を別途に設けなければならず、製造施設の整備に多くの時間が必要である。一方、デジタルワクチンは、インターネットの連結さえ可能なら、ウイルス遺伝情報をもとにワクチンを生産できる。
何より、開発の所要期間が短く、全世界で同時に大量生産できるため、ワクチン供給と分配に時間がかからない。新型コロナワクチンの分配の問題によってアフリカ地域で始まった変異ウイルスの発生などを防ぐためにも、感染拡散の初期に世界的な同時対応が可能なのだ。
このようなデジタル遺伝情報技術は、mRNAワクチン開発の活用に有利だ。ただ、これまでデジタル遺伝情報を活用して製造したmRNAワクチンが、他の種類のウイルスワクチンの開発にも適用できるかどうかは明らかになっていない。
韓国のあるバイオベンチャー関係者は「生産現場でもデジタルを導入し、医療機器・新薬物質の探索に人工知能(AI)技術を取り入れるなど、デジタルによる技術革命が起きている。これまで忍苦の時間が必要だった研究開発・生産など、すべてのプロセスで大幅に負担が軽減されると期待している」と明らかにした。
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