◇足かせをつけて走る…大型契約締結の裏に「JYネットワーク」
イ副会長は司法リスクという足かせを受けながら、かろうじて走っている――財界ではこんな評価が出ている。ある財界関係者はこんな主張を展開する。
「イ副会長をはじめとする経営陣のグローバルネットワークは、企業の最も重要な資産であり競争力だ。経済の不確実性が増す状況の中で、(イ副会長の)特赦措置を通じて韓国経済のためにさらに熱心に仕事をする機会を与えなければならない」
イ副会長のグローバルネットワークは、サムスンの通信装備事業で欠かせない競争力だ。「通信装備事業は契約規模が大きく、長期間契約が大部分だ。したがって、信頼関係を土台とした長期的な約束によって事業の成否は決定づけられる」(業界関係者)という側面がある。
代表的なのが、2020年の米ベライゾン(Verizon Communications Inc.)との7兆9000億ウォン規模の契約締結だ。当時も、イ副会長とハンス・ベストベリ(Hans Vestberg)最高経営者(CEO)間の親交が大きな役割を果たした。2人は2010年、スペイン・バルセロナで開かれた世界最大の通信展示会MWC(モバイルワールドコングレス)で出会い、親交を深めてきたという。
日本1、2位の通信事業者であるNTTドコモとKDDIに5G通信装備を納品していることも、着実な交流の結果と評価されている。イ副会長は2018年5月、2019年5月と7月に、日本で両社の主要人物と会い、5Gネットワーク事業拡大のための基盤を固めた。特に2019年7月は日韓関係が最悪の状況に突き進む中で進められた交流として注目された。
イ副会長は、サムスンがインド最大の通信企業「リライアンスジオ(Reliance Jio)」と通信装備分野で協力を拡大できるように力を入れている。イ副会長が韓国企業家の中で唯一、リライアンスグループのムケシ・アンバーニ(Mukesh Ambani)会長の子供の結婚式に招かれ、業界で大きな話題になった。
そのリライアンスジオは現在、全国すべてのLTE(第4世代移動通信)ネットワークにサムスン基地局を使っている。
「より遠くまで見通して先制的に未来を準備しよう」。イ副会長のこうした意向を受け、サムスン電子は次世代通信分野において先頭を走るべく、準備を進めている。同社が最近発刊した「6G白書」にも、市場を主導するという意志が盛り込まれた。
今月13日には、未来通信技術の底辺拡大と競争力強化のために、6G関連で全世界の専門家が参加するフォーラムを初めて開催する。
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