2025 年 11月 13日 (木)
ホーム社会高齢化・慢性疾患で需要急増…韓国「専門看護師」10年で2倍に、制度整備へ動き本格化

高齢化・慢性疾患で需要急増…韓国「専門看護師」10年で2倍に、制度整備へ動き本格化

2025年3月4日、ソウル市内のある病院(c)news1

韓国で高齢化や慢性疾患の増加を背景に、医療現場で活躍する「専門看護師」の数が過去10年間で2倍以上に増えた。2024年には約8100人だった専門看護師が、2025年には1万7850人に達した。こうした中、韓国保健福祉省は初めて関連予算を計上し、法的制度化に向けた動きが本格化している。

病院看護師協会などによると、分野別の専門看護師数(2025年時点)は、家庭看護(6715人)、高齢者看護(2854人)、保健(2052人)、集中治療(930人)、腫瘍(1276人)、精神(707人)、ホスピス(788人)、救急(395人)、臨床(430人)、感染管理(693人)などが主な構成。特に「超高齢社会」と「少子化」の影響で、高齢者看護の分野は10年前と比べて約3倍に増加した。

専門看護師とは、一定の臨床経験を持つ看護師が、保健福祉省が認証する教育課程と国家試験を経て取得する資格で、全13分野に分かれている。病院内では集中治療室や救急室、がん病棟などで、高リスク患者のモニタリングや処置、薬剤管理、患者教育を担い、地域社会では感染予防や高齢者の健康支援、保健教育など公衆衛生分野でも活動している。

特に臨床・救急分野の多くの専門看護師は「診療支援看護師(PA)」として活動している。彼らは手術室・外来・内視鏡室などで医師の処方や施術の補助、検査・記録・患者管理などに従事しているが、現行法には明確な法的根拠がなく、医療事故が起きた場合には民事・刑事の責任を個人で負う必要がある。現場では「高難度の業務を担っているにもかかわらず、法的な保護がない」との不安が根強い。

こうした実態を踏まえ、保健福祉省は2026年度予算案に新たな事業項目を追加。看護人材の就業支援に総額39億7700万ウォンを充て、前年比19.5%(6億5000万ウォン)の増額となった。このうち6億ウォンは新設された「診療支援看護師責任保険料支援」予算で、万が一の医療事故に備えて民事・刑事補償を受けられる保険制度の設計が進められている。2026年には病院規模の医療機関を中心に試験運用が始まる。

また、保健福祉省は2025年5月に「専門看護師制度化方針会議」を開き、法制度の整備にも着手。報告書では、専門看護師の業務を診察・検査、応急処置、薬物投与、感染予防、健康増進事業などに定義し、医療法施行規則の改正によって資格体系と業務範囲の明確化を進める方針を示した。ただ、看護師法との整合性を考慮し、行政指針の改正など段階的な対応から始めるとされている。

(c)news1

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