韓国でリーガルテック(法律サービスと技術間の結合)ブームが始まっている。法曹関係者の間で注目されており、“スマート裁判所”に向けて歩みを進めている。
法律プラットフォームの「人工知能(AI)事件分析」に「ソウル市瑞草駅交差点付近、血中アルコール濃度0.09%で飲酒運転摘発、運行距離500m、代行運転未利用、前科なし、犯行自白」との架空の飲酒運転事案を入力した。すると、AIは次のような分析した。
「利用者様の事件は飲酒運転1回に該当します。類似の事件の平均量刑は罰金600万ウォンです。裁判の平均期間は、飲酒運転の取り締まりの日から約3.9カ月です」
罰金刑以上の前科と飲酒運転認定、代行運転利用の有無などを総合的に判断した結果だ。AIは罰金額だけでなく、類似の事件結果と懲役刑や執行猶予のような刑を受けた事例も提示した。社会経験、結婚の有無など裁判で斟酌される量刑要素も説明した。
プラットフォーム運営会社ロイアドカンパニーのソン・スヒョク代表は「1万件以上の判決をマシンラーニング技法で分析し、利用者が入力した事項と最も類似した判決文を提示する」と説明している。
未来展望に基づいた「予測」ではなく、判決が宣告された「判例」を推薦するとのことだ。
◇司法府内に「ビッグデータプラットフォーム」
裁判所行政処は約3000億ウォンをかけて来年上半期の導入を目標に次世代電子訴訟システム(次世代システム)を構築する事業を進めている。次世代システム裁判所内の90余りに分散した各種システムと、老朽化した裁判業務体系を一つに集めて総合的に再開発する事業だ。
核心となるサービスの一つは、司法府内に「ビッグデータプラットフォーム」構築だ。データを収集・保存・処理・分析し、これを視覚化するAI分析モデルを開発する計画だ。
民事・刑事と家裁・行政・特許事件について、裁判所で審理中の事件と類似した事例を探し出し、裁判の参考にできるようにするAI分析モデルもつくり出す方針だ。請願人に訴訟手続きを説明する案内ボットと、職員を対象にした知能型チャットボットの導入も準備している。
最高裁はさらにマシンラーニング技術を活用して民事事件の調整・和解を予測できるモデル、事件の争点を提示するモデル、当事者が提出した文書を要約するモデルなど、裁判の進行に役立つAI分析モデル開発を検討している。
裁判所の事情に詳しい関係者は「人工知能学習のためには資料が多く必要だが、裁判所には各種準備書面と判決文など膨大な記録がある。活用できる記録は無尽蔵だ」と指摘する。
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