韓国の主要食品企業は今年下半期のキーワードとして「健康」に注目している。高い食卓物価によって消費者の財布のひもが締められる可能性があり、「よりおいしく、より健康な製品」で勝負してみるという戦略だ。
◇ゼロ飲料などローフードが人気
新型コロナウイルス感染の余波で、健康に対する消費者の関心が大きくなった。食品業界はこの点を考慮して、今年上半期から脂肪、ナトリウム、糖など特定成分を減らした「ローフード」を多数披露した。
飲料業界では、とりわけゼロトレンドがはっきりしている。今年上半期にはロッテ七星飲料、コカコーラ、ハイト真露飲料、農心、熊津(ウンジン)食品、新世界フードなどがカロリーと砂糖、カフェインなどを含んでいない「ゼロ新製品」を披露した。
酒類業界はノンアルコールビールに注目している。MZ世代を中心に「低度酒」を楽しむ人が増加し、ノンアルコールビール市場は昨年200億ウォン規模に成長した。
ハイト真露飲料の「ハイトゼロ0.00」、ロッテ七星飲料の「クラウドクリアゼロ」、OBビールの「CASS 0.0」がこの市場を主導する。また青島、ハイネケン、バドワイザーなどが今年上半期ノンアルコール新製品で市場規模を拡大している。
◇CJ第一製糖、「健康」と「グローバル」キーワードで下半期事業を展開
CJ第一製糖は「10~20年後を見通せる未来の食べ物をつくる」というイ・ジェヒョン会長の経営哲学の下、今年下半期に事業を展開するという構想だ。キーワードはやはり「健康」と「グローバル」だ。
韓国の国内市場では3大家庭簡便食(HMR)製品である「ヘッパン」「ビビゴ」「コメ」を前面に出して事業規模を拡大する一方、健康を重視する消費者を狙って代替肉をはじめ植物性食品事業も強化する。
植物性食品事業は昨年12月に披露した「プランテーブル」が先頭に立つ。CJ第一製糖は昨年発売した餃子のほか、トッカルビ、おにぎりなどの製品ラインナップを増やし、味の品質をさらにアップグレードする計画だ。
海外事業の場合、米国、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、ベトナム、中国など主要拠点市場を中心に市場支配力を拡大する。現地料理と韓国料理を結合した新しい「K-フード」製品でグローバル「トップ5」食品企業に生まれ変わるという目標だ。
今年下半期のバイオ事業もさらに積極的に育成する。CJ第一製糖は農業・食品部門「グリーンバイオ」、環境・エネルギー部門「ホワイトバイオ」、医療・製薬部門「レッドバイオ」の3つの軸でバイオ事業を拡大している。
CJ第一製糖バイオ事業は当分、グリーンバイオを主軸に展開する予定だ。高付加価値ホワイトバイオとレッドバイオ事業が未来成長の原動力になるまではグリーンバイオ事業がキャッシュカウの役割を担う方法だ。
◇テサン「顧客価値」vs東遠F&B「品質経営」vsプルムウォン「プレミアム」
テサンは「清浄園」と「宗家」ブランドを中心とした総合食品事業とバイオ、でんぷんなど素材事業を強化する。食品部門は顧客が望む価値に集中して多様な商品を披露し、成長機会を作る。
素材事業のうち、でんぷん部門はエコ素材を基盤に新規生産拠点や市場拡張を推進する。バイオ部門は環境にやさしい代替食品素材事業と石油化学由来素材をバイオマス由来素材に代替する「ホワイトバイオ」事業に積極的に乗り出す。
東遠F&Bも今年下半期にHMR、乳製品、飲料など多様な製品群で「健康」を強化した新製品を披露する。製品力とブランド育成を通じて未来の食べ物発掘にも集中する。
プルムウォンは持続可能食品ブランドを中心に製品発売・マーケティング活動を強化する一方、上半期に披露したビーガンレストランを経験できるチャンネルを拡大する計画だ。
主力製品群であるHMRでは、プレミアム化に乗り出す。これにより顧客の細分化されたニーズを満たす一方、原価上昇に伴う実績減を防ぐという構想もある。
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