
韓国の大手免税店・現代免税店が、業界で初めて人工知能(AI)を活用した無人自販機「スマートセラー(Smart Seller)」を仁川国際空港店に導入し、試験運用を開始した。パスポートや航空券による本人確認が必要な免税品の購入を、AI技術で一台の機器に集約し、顧客の利便性向上を図る狙いだ。
導入された「スマートセラー」は、アーモンドなどの小型食品を対象にした自販機型販売機で、現在は韓国のパスポート保有者のみ利用可能となっている。単なる自販機ではなく、OCR(光学文字認識)、顔認証、IoT、システム統合(SI)などの先端技術を結集したAI端末だ。
利用者は商品を選んだ後、パスポートをスキャンし、設置されたカメラで顔認証をする。さらに航空券の確認とクレジットカード決済を経て購入が完了する仕組みだ。しわや折れのあるパスポートでも正確に情報を読み取る高度なAI認識機能が採用されている。
通常、免税品を購入するには係員にパスポートと搭乗情報を提示して本人確認を受ける必要があるが、この手続きがすべて自動化されることで、特に出国直前の混雑時に待ち時間が大幅に削減されると評価されている。
免税業界ではこうした動きが「単なる売り上げ拡大策ではなく、市場変化への戦略的対応」と捉えられている。近年、旅行者の消費スタイルが変化し、免税店から市中のロードショップに流れる傾向が強まっており、価格だけでなく「利便性」が重要な要素となっている。
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