
韓国の大手通信会社「LG U+(LGユープラス)」はこのほど、現代(ヒョンデ)自動車・起亜(キア)の主導で、交通弱者である視覚障害者が安全に公共交通を利用できるように進められた特化端末の実証事業を成功裏に終えた。
この事業は、現代自動車・起亜の2023年のアイデアフェスティバルで大賞を受賞した「視覚障害者の移動アクセシビリティ向上のためのデイジー技術開発」課題を、LG U+が受注して進めたもの。
デイジーとは、視覚障害者が使用する白杖とスマートフォンを連動させ、安全で便利なバス乗車を支援する技術で、視覚障害者の日常の移動を容易にするという意味が込められている。
韓国の視覚障害者は約25万人に達する。国土交通省の「交通弱者の移動利便性実態調査研究」によると、視覚障害者の市内バス利用率は34.6%で、他の交通弱者よりも低い水準にとどまっている。これは、バスで提供される音声案内が不明瞭であることや、停留所に複数のバスが到着した際に、どのバスに乗るべきかを正確に把握しにくいためだ。また、バスの乗降口の位置を見つけにくく、運転手とのコミュニケーションが難しい点も主な不便事項として挙げられる。
両社はこのような視覚障害者の交通における不便を解消するため、バス乗車ソリューションを開発した。このソリューションは、バスのリアルタイム情報を収集するBISと連携した視覚障害者専用アプリを基盤として動作する。
このソリューションでは、視覚障害者が乗車するバスの路線をアプリで予約した後、接近するバスのリアルタイム位置を音声案内とともに白杖の振動で知らせる。微細な振動の強弱を通じて、乗車するバスの位置や停車順序、相対的な距離を把握できる。
また、降車ベル機能をサポートしており、視覚障害者の降車の意思をバス運転手に伝えることができる。運転手は運転席に設置されたデイジー通知装置を通じて、停留所ごとに視覚障害者の乗降有無を確認できる。
両社は今後、自治体のシステムと連携した実証方案も検討する。これにより、視覚障害者の日常の移動に同行する交通支援サービスとしての拡大が期待されている。
LG U+モビリティ事業担当のパク・ジュンソク氏は「LG U+は基幹通信事業者として、国民の安全で便利な日常をつくる活動を展開してきた。技術による挑戦と飛躍を通じて、視覚障害者をはじめとする社会的弱者が価値ある日常を送れる明るい世界をつくることに貢献していきたい」と語った。
(c)KOREA WAVE