![](https://koreawave.jp/wp-content/uploads/2025/02/韓銀がIMFと共同研究「AIは韓国GDPを最大12.6%押し上げる」という可能性-1024x518.jpg)
韓国銀行は10日、国際通貨基金(IMF)との共同研究の報告書「AIと韓国経済」を発表した。それによると、韓国で人工知能(AI)は少子高齢化による労働生産性の低下を補い、韓国の経済成長率(GDP)を最大12.6%まで引き上げる可能性があるという。だが、AIの導入は国内労働者の51%に影響を及ぼすため、教育や再訓練プログラムなどの個別対応型の政策が必要だとも指摘している。
報告書は、AIが経済成長率に与える影響を三つのシナリオに分けて分析しているが、AIが労働力を代替しながら補完して生産性を向上させる第3のシナリオでは、全要素生産性は3.2%、GDPは12.6%まで増えるという結果が出た。
韓国銀行調査局のオ・サミル雇用研究チーム長は、高齢化と労働供給の減少による経済成長の鈍化をAIが相当部分で相殺できると述べた。AIの導入がない場合、2023年から2050年までの間に韓国のGDPは16.5%減少するとの予測が出ている。
一方で、AIの導入は労働市場にも大きな影響を与えるとされている。国内労働者の51%がAIの影響を受けると推定されており、この影響を分析するために「AI曝露(ばくろ)度」と「AI補完度」という二つの指標が用いられた。AI曝露度は職務がAIによってどの程度代替可能かを示す指標であり、AI補完度はAIによる職業代替リスクからどの程度保護されているかを示す。
AI曝露度が高く、AI補完度が低い職業群の割合は全体の27%に達しており、これには通信関連の販売職、顧客相談や事務職、データおよびネットワーク専門家などが含まれる。これらの職種は低賃金である場合が多く、失業リスクも高まると分析された。一方で、AI曝露度が高くてもAI補完度が高い職業群では、AIを活用することで生産性の向上や賃金の上昇が期待できる。ただし、この場合はAIに関する教育が行き届いていることが前提条件となる。このような職業群は全労働者の約24%と推定されている。
個人特性別に見ると、AI曝露度は女性、高学歴、若年層の労働者で特に高い傾向が見られた。また、所得水準別では、所得が高いほどAI曝露度が高くなる一方、AI補完度も同時に高まる傾向が明らかとなった。これは過去の技術革新が中位所得層の職業に集中して影響を与えたのとは対照的である。高所得層の労働者はAIに単に代替されるのではなく、AI技術を活用して生産性向上の恩恵を享受する可能性が高いことを示唆している。
一方、韓国のAI準備指数は、165カ国中15位にランクインした。AI準備指数は、デジタルインフラ、イノベーションおよび経済統合、人的資本および労働市場政策、規制および倫理という四つの分野で評価される。このうち韓国は、デジタルインフラで18位、イノベーションおよび経済統合で3位、人的資本および労働市場政策で24位、規制および倫理で18位となっている。
オ・サミル氏は、韓国の人的資本および労働市場政策が先進国の中央値よりやや低いことを指摘し、教育や再訓練プログラムを通じて労働市場の柔軟性を高めると同時に、脆弱(ぜいじゃく)な階層のためのセーフティーネットを強化する個別対応型の政策が必要だとしている。
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