2025 年 11月 4日 (火)
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韓米関税交渉妥結後、産業界に明暗…自動車「反騰の契機」、鉄鋼「重荷」、半導体「依然として緊張」

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韓米の関税交渉妥結を受け、産業界は長年の不確実性から一定の解放を得たものの、業種別に反応は分かれている。自動車業界は関税引き下げにより業績回復が期待される一方で、鉄鋼業界は高率関税の維持により苦境が続く。半導体業界は「台湾と同等の待遇」とする韓国政府の説明にもかかわらず、米側の一部発言により再交渉への懸念が消えていない。

韓国政府関係者によると、10月29日に妥結した今回の協議により、韓国産自動車に課されていた米国輸入関税は従来の25%から15%に引き下げられた。

高率関税の影響で、現代自動車と起亜の今年第2四半期営業利益はそれぞれ前年同期比15.8%、24.1%減少。年間では1兆6000億ウォン超の損失が発生していた。引き下げにより関税負担は年間3兆ウォン以上軽減される見通しだ。

現代自動車グループは「政府の尽力に感謝する」とし、「品質とブランド競争力の強化を通じて、より強固な基盤を築いていく」とコメントした。

自動車業界の好影響は完成車にとどまらず、関連部品産業にも波及。韓国GMは高関税により米市場からの撤退を検討していたが、今回の妥結で再成長の可能性が開けた。

これに対し、鉄鋼業界は交渉対象から除外された。トランプ政権は今年初頭、国家安全保障を理由に鉄鋼・アルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税を課し、6月には鉄鋼に対する関税をさらに50%に引き上げた。

鉄鋼は今回も「安全保障品目」とされ、引き下げ対象には含まれなかった。

昨年、韓国から米国への鉄鋼輸出額は約29億ドルで、鉄鋼輸出全体の9%に過ぎないが、米国市場の縮小が国内供給過剰と価格下落を引き起こし、連鎖的な悪影響が出ている。

中小鉄鋼・アルミ企業は、輸出支援制度「輸出バウチャー」事業が予算切れで停止したことで、支援の空白に直面。8月には133社が廃業した。

半導体業界は「台湾と同等水準」との政府説明により一時的な安堵感は広がったが、ラトニック米商務長官がSNSで「半導体は今回の合意の一部ではない」と発言したことから、再交渉の可能性が再燃している。

これに対し、キム・ヨンボム(金容範)大統領室政策室長は「確かにMOUに半導体は含まれていないが、共同ファクトシートには『台湾より不利ではない』という内容が盛り込まれている」と説明した。

ただ、業界内では、今後、米国が「半導体パッケージ再交渉」を求める可能性があるとして、慎重姿勢を崩していない。

関税妥結は短期的な不確実性を解消したものの、米国側が今後も追加要求や個別品目の見直しをする可能性は否定できず、「ポスト関税時代」の課題は続くとみられる。

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