
韓国の大手芸能プロダクション企業ハイブ(HYBE)のパン・シヒョク議長が、企業公開(IPO)を巡る不正疑惑で約14時間に及ぶ警察の取り調べを受けた。パン・シヒョク議長は、ハイブ上場前に投資家を欺き、知人が設立した私募ファンドに株式を売却させて上場後に巨額の利益を得たとされる資本市場法違反(詐欺的不正取引)の容疑を受けている。
ソウル警察庁広域捜査隊金融犯罪捜査隊は9月15日午前10時、パン・シヒョク議長を被疑者として召喚した。調書の閲覧まで含め午後11時48分に調査を終えたパン・シヒョク議長は記者団の質問に答えず、無言で警護員に囲まれて車に乗り込んだ。
出頭時、パン・シヒョク議長は黒いスーツに透明の角ばった眼鏡をかけ、硬い表情を見せた。「調査に誠実に臨む。私のことで心配をかけ申し訳ない」とだけ述べた。
パン・シヒョク議長側は声明で「上場は法律と規定に従って進めた。調査に積極的に協力し、誠実に説明する」と強調した。
疑惑は2019年の上場前にさかのぼる。パン・シヒョク議長は既存投資家やベンチャーキャピタルにIPOの予定はないと説明しつつ、知人が設立した私募ファンドに株式を売却させたとされる。その後、ハイブが上場するとファンドは保有株を売却し、パン・シヒョク議長は事前の契約に基づき売却益の3割を受け取った。この利益は約1900億ウォンに達したとされる。
警察は2024年12月に独自の情報を基に内偵を開始。2025年6月には韓国取引所を家宅捜索し、ハイブの上場審査関連資料を確保。7月にはソウル市龍山区のハイブ本社も捜索した。パン・シヒョク議長側は「初期投資家を欺いたのではなく、投資家からの要請に応じたものだ」と反論。利益配分も投資家側の提案だったと主張している。
パン・シヒョク議長は8月に社内メールで「今後の調査にも誠実に応じ、事実関係が明らかになることを期待し、当局の判断を謙虚に待つ」と述べていた。
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