
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が、人気グループ「BTS(防弾少年団)」公演を機に高騰した宿泊料金を名指しで批判するなど、「ぼったくり」問題が再び注目を集めている。ソウル都心でも、国内外の観光客を狙った不当請求が後を絶たない。
専門家は、もはや自主的な改善に頼る段階を過ぎたと指摘する。少なくとも消費者が適正価格を判断できる客観的な相場情報の提示と、リアルタイムで不当料金を通報できる仕組みの整備が不可欠だという。
イ・ジェミョン大統領は16日、X(旧ツイッター)でBTSの釜山公演を受け宿泊料金が最大10倍に跳ね上がったとの記事を共有し、「市場秩序を壊し、皆に大きな被害を与える悪質な横暴は根絶すべきだ」と投稿した。
問題は釜山に限らない。BTSのカムバック公演会場に近い光化門周辺の影響を受け、明洞一帯でも公演当日(3月20日)の宿泊料金が、前後週の同曜日と比べて20万~30万ウォン高い水準となっている。
大統領の指摘を受け、釜山市は「ぼったくり料金QR通報システム」を打ち出した。観光客がQRコードを読み取り通報すると、韓国観光公社を経由して所管自治体や関係機関へ情報が共有され、内容に応じて合同点検や指導につなげる仕組みだ。
同様のQR通報はソウル市も先行導入している。観光客向けタクシーの不当請求が続いたことから、昨年6月に全国初のタクシーQR苦情通報制度を整え、6~12月に外国人から487件の通報が寄せられた。最多は「不当料金」だった。
ただし、こうした仕組みは、タクシーやホテルのように料金がある程度標準化され、過去価格との比較が可能な分野で効果を発揮しやすい。
慶熙大観光学科のチュ・ドンオ教授は「データに基づき『明らかに不当』と判断できる場合に、QR通報を通じた行政介入の正当性が生まれる。ホテルは過去価格の記録があるため判断しやすい」と話す。
課題は、ぼったくりがタクシーや宿泊にとどまらない点だ。標準価格が定まらない商品・サービスでは、通報や指導が現実的に難しい。
外国人観光客が多い広蔵市場や明洞の屋台は代表例だ。材料や量、味の差で価格が大きく変わるため、「どこからが不当か」の基準を示しにくい。広蔵市場では昨年、8000ウォンのスンデに肉を追加して1万ウォンを請求する手口が問題化した。
チュ教授は「屋台は非標準化商品を扱うため不当請求が起きやすく、取り締まりも難しい。現地相場を知らない外国人は、違和感があっても通報を使わない可能性が高く、屋台へのQR通報導入の効果は限定的だ」と述べる。
専門家は、標準価格がない分野ほど、品目別の目安となる消費者物価を分かりやすく周知し、観光客が最低限の相場感を持てるようにすべきだと提言する。
また、不当料金への抑止力を高める制度整備も重要だ。夜市が盛んな台湾では、果物を4倍価格で売った商人が問題となり、台北市が約1年で800以上の屋台を調査し、営業停止などの措置を科した例がある。
商人同士の自主的な監視・管理も欠かせない。韓国では屋台が自治体の直接管理外にあるケースが多く、商人会の役割が鍵となる。世宗大ホテル観光学科のチョ・ミヘ教授は「商人会登録は完全義務ではないが、登録がなければ政策支援を受けにくい。こうした仕組みで商人会を活性化し、自主的な管理に参加させることが望ましい」と話している。
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