最近、コンサートやミュージカルなどの公演チケットを予約するのが以前より難しくなったように感じる。K-POPの人気が高まり、チケット争奪戦が韓国内にとどまらず、世界でも激化しているからだろうか。キャンセルチケットを手に入れる「キャンセルゲッティング」も難しくなった。
それでも、チケット購入に成功する人がいる。素早い行動の結果だが、時には不正な手法が使われることもある。そうしたチケットを高値で転売する業者もいる。これがいわゆる「転売ヤー」だ。
韓国政府も事態の深刻さに気付き、今年3月からマクロプログラムを使用して公演入場券を購入し、不正販売が発覚した場合、1年以下の懲役または1000万ウォン以下の罰金が科されるようになった。
ただし、チケット販売プラットフォームがマクロプログラムを検知するのは容易ではない。プログラムを使用して購入したかどうかの区別が難しいからだ。それにもかかわらず、韓国のチケットプラットフォーム「インターパークチケット」は、さまざまな技術的手段を模索している。公演文化をリードし、公正に観覧できる環境を提供する責任があるからだ。
インターパークチケットは不正予約をどのように防ごうとしているのだろうか。ソウル・江南区のインターパークチケット本社で、チケット部門のイム・ギョンヨン最高技術責任者(CTO)にこれまでの取り組みと今後の計画について話を聞いた。
◇公正に購入できるように…顔認証技術の導入
最近、インターパークチケットは不正予約を防ぐため、予約方法を変更した。これまで複数のデバイスやブラウザを同時に開いて予約を進めることができたが、今後は1つのアカウントで1つの待機番号しか取得できなくなった。
イムCTOは「以前は1人で複数のウィンドウを開いて予約を試みることができたが、これが問題だと考えた。トラフィックも増えてしまい、良いことはなかった。今後は1つのIDで同時接続ができないようにした。その代わり、ウィンドウを閉じても再び開いた時に待機が維持されるようにした」と説明する。
イムCTOは、ネイバーやNCソフト、ネクソンなどを経て、2022年にインターパークに加わり、チケット部門の最高技術責任者を務めている。
不正予約に一般的に使用されるマクロにはいくつかの種類がある。マウスクリックマクロプログラムはもはや業者と呼ばれる人々には使用されていない。最近では、Web通信ハッキングが使用されているが、これも会社が識別するのは容易ではない。しかし、同一IPで複数のアカウントを使用して早く送信する行為は識別してブロックしている。
「ダフ屋が公演会場の前でチケットを渡したり譲渡したりして、高額で販売することがある。企画会社と協議し、技術的に譲渡ができないようにして行為を撲滅する」
イムCTOはこう述べ、韓国の大手総合エンターテインメント企業「HYBE」と生体情報認証技術を持つ「トス」、インターパークが協力することにしたと明らかにした。
3社は、顔認証ソリューションの開発と普及を目指す業務協定(MOU)を締結し、技術開発で協力している。具体的には、偽造が不可能な固有の生体情報である「顔」を公演会場の入場時に本人認証手段として活用することを目的としている。チケット予約段階で顔が登録されるため、マクロプログラムの使用が難しくなり、チケット購入者本人のみが公演を観覧できるようになり、不法取引を根絶できると期待されている。
トスは顔認証システムの開発と管理を担当し、インターパークチケットはトスの顔認証と本人認証技術を組み合わせて不正予約を防止する「顔認証チケット予約」サービス(仮称)を提供する。
「チケットに対する需要は以前より確実に増えており、公演の供給が限られている。競争が激化し、転売ヤーも増加した。顔認証によるチケット予約が実現すれば、転売ヤーは消滅するだろう」
イムCTOはこう見通す。
◇キャンセルチケット待機システムがまもなく公開
インターパークチケットは、不正予約を防止するさまざまな手段を準備しているだけでなく、今年後半にはキャンセルチケット待機購入システムを導入する。これにより、キャンセルチケットを取得するために何度も更新をしなくても、待機予約を設定することで、キャンセルチケットを優先的に購入する機会が与えられる。
「もしユーザーが『VIP席2枚のキャンセルチケットが出た時に購入したい』と予約をしておけば、その人に優先して購入の機会を提供する方法を導入する。インターパークチケットの有料サービスである『トッピング』は特定の座席を選択できるようになっているが、使いにくいという評価が多くあった。そこで、この部分を改善し、座席のグレードだけ選択してもキャンセルチケットを購入できるようにした」
このシステムを導入した理由も、不正予約を防止するためだ。
好きなアーティストが海外で公演しても、インターパークチケットで簡単に予約できれば、より便利だ。まだ準備中だが、これが実現すれば、韓国内のファンも言葉の壁なく、簡単にチケットを予約できるようになる――イムCTOはこう強調する。
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