韓国の俳優ユ・アインのプロポフォール違法投薬と大麻使用事件に、検察と警察も神経を尖らせている。麻薬捜査をめぐって両者の駆け引きがピークに向かっているためだ。国民の関心を集めている事件を警察がしっかり終えれば、捜査力を満天下に証明する契機になり得る。反対の場合、麻薬捜査の主導権は検察に移らざるを得なくなる。
麻薬捜査の場合、昨年、いわゆる「検捜完剥」(検察捜査権の完全剥奪)施行で検察が直接捜査できる対象から除外された。しかし、施行令改正を通じて麻薬類「流通」犯罪を経済犯罪に分類し、検察が直接捜査できるようになった。麻薬捜査を巡り両捜査機関の「自尊心競争」が過熱する理由だ。
◇「ユ・アイン捜査」…警察、麻薬捜査力検証のチャンスか
警察の立場ではチャンスをつかんだことになる。ソウル警察庁麻薬犯罪捜査隊は食品医薬品安全庁が麻薬類統合管理システム(NIMS)を分析して依頼した計51人に対する捜査を進めている。
国立科学捜査研究院がソウル庁の依頼を受けてユ・アインに対する麻薬類精密鑑定を実施した結果、尿から大麻陽性反応が検出された。ただ、プロポフォールは陰性判定が出た。警察はソウル市江南区(カンナムグ)と龍山区(ヨンサング)の整形外科など多数の病院・医院を家宅捜索した結果を分析し、捜査を拡大している。
今回の捜査を通じて、社会のエリート層のプロポフォール違法投薬と、病院の「常習的な黙認」が明らかになれば、その波紋は相当なものになる。反響が大きいほど、警察の捜査力に対する不信感を和らげることができる、という見方が出ている。
麻薬捜査に対する成果は、検察が先に出している。ソウル中央地検は先月、直接捜査の結果、大麻を流通・使用した20人を立件し、このうち17人を起訴したと発表した。
主な容疑者には南陽(ナミャン)乳業創業主の孫と暁星(ヒョソン)グループ創業主の孫ら財閥家2、3世と、芸能企画会社代表と歌手が大挙含まれ、波紋が起きた。容疑者らは互いに大麻を売買した疑いで相次いで摘発された。国外に出国した3人は起訴を中止し、指名手配している。
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