韓国で職場いじめが急増する一方、処罰の実効性が低いため根本的な解決が進んでいない。雇用労働省によると、2022年に受け付けた職場いじめの申告件数は前年比11.9%増の1万28件。今年も8月までに7720件の報告があり、過去最高を更新する見通しだ。
これに対して処罰に至った例は極めて少なく、昨年の申告1万件中、科された行政罰は187件、検察送致は153件にとどまった。起訴に至った事例は57件に過ぎない。これは被害の程度が調査官の主観的な判断に委ねられているのが要因とされる。
そもそも職場いじめ禁止法は報復的な解雇や不利益処遇を禁じる条項に刑事罰があるものの、いじめそのものに対する直接的な刑罰規定がない。
労働者権利保護団体「職場パワハラ119」の調査では、職場いじめを経験した回答者の15.6%が深刻な精神的影響を受けたと回答している。
韓国の人気アイドルグループNewJeans(ニュージーンズ)のハニがいじめ被害を訴えた事例も報じられたが、雇用労働省は彼女を「労働基準法上の労働者」とみなさないとの理由で調査を終了した。この問題を受け、同省は法整備の見直しに着手し、職場いじめの基準明確化や労働委員会への救済権限の付与などを検討している。
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