
韓国の半導体大手SKハイニックスが、労使交渉で「成果給の上限」を撤廃し、営業利益の10%を成果給として全額還元することに合意した。業界で不文律とされてきた「天井」を破った決定に、サムスン電子や現代自動車など主要企業が揺れている。
業界によると、SKハイニックスの労使は9月1日、基本給の最大1000%を上限としていた「超過利益分配金(PS)」の制限を廃止し、営業利益の10%を成果給として支給する内容の暫定合意案をまとめた。固定給は6%引き上げる。支給は「当年80%、残り20%を2年に分けて繰り延べ」という方式で、今後10年間適用される見通しだ。
高帯域メモリ(HBM)の好調でSKハイニックスは、過去最高益を更新中で、証券街は2025年の営業利益を37兆~39兆ウォンと予想する。従業員数(3万3625人)で割ると、1人当たり1億ウォンを超える成果給となり、実際に年俸1億ウォンの社員は1億1000万~1億3000万ウォン台の成果給を手にする可能性がある。今年初めの平均7500万ウォンから最大80%近く増加する計算となる。
ただ、この「破格の還元」は他社にも影響を及ぼしつつある。ライバルのサムスン電子はHBM市場で後れを取り、業績不振に苦しんでいるが、すでに社内の成果給改善タスクフォースが上限制撤廃や支給率引き上げを提案している。現代自動車やHD現代重工業、ポスコなども労使交渉が難航しており、SKハイニックスの決定が労組の要求を後押しする可能性がある。
一方で「SKハイニックスの特異な好業績を他社にそのまま適用するのは無理がある」との反論も出ている。営業利益率40%台の同社と、10%未満が一般的な他の製造業を同列に扱えば株主利益を損なうという指摘だ。
財界関係者は「サムスン電子が最も神経を尖らせているが、業績が伴わない状況で成果給だけを論じるのは筋が通らない。SKハイニックスの事例は業界全体の標準にはなり得ない」と話している。
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