韓国の石油元売り大手「SKエナジー」は11日、国内で初めてコプロセッシング(co-processing)方式を採用した再生航空燃料(SAF)専用生産ラインを整備し、来月から商業生産を開始すると発表した。廃食用油や動物性脂肪などのバイオ原料を使用してSAFをはじめとする低炭素製品を生産する。
今回整備されたコプロセッシング方式のSAF専用生産ラインは、既存の石油製品の生産工程に石油原料とバイオ原料を同時に投入し、石油製品と低炭素製品を同時に生産する。バイオ原料貯蔵タンクには専用配管が設置されており、バイオ原料を随時石油製品の生産工程に投入できるため、SAFの連続生産が可能となる。
今回のSAF商業生産が開始されれば、SKエナジーはSAF事業拡大に向け原料調達から生産、販売に至るバリューチェーンを完成させることになる。安定したバイオ原料の確保のため、SKエナジーの親会社であるSKイノベーションの子会社SKトレーディングインターナショナルは、昨年廃資源をベースにした原料業者への株式投資を実施した。
また、SKエナジーは、SAFの生産と販売のため、今年6月に国際航空分野でSAF生産を公式認証する「ISCC CORSIA」を取得した。さらに、欧州連合(EU)の再生可能エネルギー指令(RED)に基づく低炭素燃料製品の生産を認証する「ISCC EU」と、任意市場の環境に配慮した製品の認証である「ISCC PLUS」も取得している。
SKエナジーは来年初めから大韓航空の旅客機にSAFを供給する予定だ。
SAFは今後成長が期待されるグローバル市場だ。国際航空運送協会(IATA)によると、世界のSAFの需要は2022年の24万トンから2030年には1835万トンへと約70倍に拡大すると予測されている。韓国でも2027年から、国内発の国際線全ての航空便でSAFの混合給油を義務化する案が進められている。今後、SAFの需要が増加するにつれ、SKエナジーはコプロセッシング方式でSAFを連続生産すると同時に、状況に応じてSAF専用生産設備の導入も検討している。
SKエナジーのホン・グァンピョ戦略運営本部長は「コプロセッシング方式を通じてSAFを連続生産する国内初の事例であり、SAF義務化政策に先行対応して航空会社が必要とする際には即座に供給が可能だ」と述べ、今後国内外のSAF政策や需要の変動など、市場の状況を細かくモニタリングしながらSAFの生産拡大を検討していく考えを示した。
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