韓国の格安航空会社(LCC)業界は、設立20周年を迎えた2025年に最悪の危機に直面している。昨年12月29日に発生した済州航空機事故を受け、消費者の安全性への懸念が高まり、業界全体の信頼回復が急務となっている。
韓国のLCC産業は、2005年の済州航空設立以来、低価格を武器に急成長してきた。国土面積が98倍広い米国と同数の9社が韓国国内で競争している。昨年1~11月の国内線利用者の65%、国際線利用者の35.3%がLCCを利用し、大手航空会社(FSC)を上回るシェアを記録している。
LCC各社の業績も好調で、済州航空、ティーウェイ航空、ジンエアーの2023年の年間売上高はそれぞれ1兆ウォンを超えた。2024年以降、さらなる事業拡大が期待されていたが、事故がその流れを一変させた。
済州航空機事故を受け、LCCの安全性に関する懸念が再燃している。事故原因はまだ解明されていないが、LCCの整備費用がFSCに比べて低い一方で、運航回数が多い点が不安を煽っている。事故後、済州航空の予約キャンセル数は6万件を超え、同社は運航量を10~15%削減せざるを得ない状況だ。
この信頼失墜は、業界全体に波及する可能性があり、LCC業界が進めていた統合・再編計画にも影響を与えるとみられている。
現在、大韓航空とアシアナ航空の合併が進行中であり、それに伴うLCC子会社(ジンエアー、エアソウル、エアプサン)の統合も予定されている。また、済州航空によるイースター航空買収やティーウェイ航空の事業拡大など、LCC業界再編が注目されていた。
しかし、今回の事故は安全性への投資を優先課題とし、業界再編の勢いを鈍化させる可能性がある。専門家は、LCC各社が安全管理体制を見直し、設備や人材への大規模に投資する必要があると指摘している。
LCC業界が20年間で築いてきた成長は、消費者の信頼の上に成り立っている。今回の事故を契機に、業界全体で安全基準を強化し、信頼を取り戻すことが急務だ。
(c)news1