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韓国鉄道公社(KORAIL)が、人工知能(AI)やビッグデータなどの先端技術を活用し、鉄道の安全確認、予測、対応に積極的に取り組んでいる。KORAILは昨年から「AI基盤統合安全管理システム」の構築を進めており、安全対策の高度化を図っている。
代表的な事例が「営業列車車上検測システム」だ。客を乗せて走行する列車が、移動しながら線路や施設をリアルタイムで点検するシステム。現在ITX-セマウル号に搭載されている。
このシステムは、モノのインターネット(IoT)センサーを活用して列車の速度や部品の異常、振動、騒音などの安全関連データを収集し、AIが分析するもの。故障の可能性を予測し、メンテナンスの効率を高める「状態基盤メンテナンス(CBM)」だ。
CBMは、従来の定期的な部品交換や点検ではなく、部品の状態に応じてメンテナンスを進める手法であり、安全性と効率性の向上が期待されている。
夏場の猛暑による線路の変形を防ぐため、AI技術を活用したレール温度監視と散水システムも導入されている。AIが気温変化の推移や気象庁の予報などのビッグデータを分析し、最大2日先までのレール温度を予測する。
特に、高速鉄道区間では、一定基準を超えるレール温度が検出されると、自動散水装置が作動し、線路を冷却することで変形による事故を未然に防ぐ仕組みになっている。
AI技術は防犯カメラにも応用されている。AI映像分析により、リアルタイムで異常事態を検知し、警報を発することで作業員や乗客の安全を確保する。
例えば、ホーム端から線路に接近する乗客を感知し、警報を発する「線路出入感知警報システム」は、現在、ソウル駅など主要駅で運用されている。
また、地滑りや崖崩れによる線路の異常を即座に検知し、列車に停止信号を送る「落石検知システム」は、全国163カ所に設置されている。
列車の運行前に線路へ投入され、落石や障害物などの異常を点検する「線路自律走行ロボット」も、KORAILのAI基盤安全システムの代表例だ。
KORAIL関係者は「最先端技術を活用し、鉄道の安全性をより強化し、維持管理の科学化に全力を尽くす。国民がより快適で安全に利用できる鉄道を目指していく」と述べた。
(c)news1