韓国ICT(情報通信技術)企業の間で、超巨大AIモデルの開発や、AIサービスに特化した半導体・クラウドなどのインフラ構築における技術開発競争が激しくなっている。超巨大AIを活用してオーダーメード型サービスを展開しようとする企業が増えており、ハードウェアとソフトウェア、運営環境まですべて備えたフルスタック(全天候型)での競争力強化が中心になっている。
韓国で初めて大規模言語モデル(LLM)の「ハイパークローバー」を構築したネット大手ネイバーは、今年下半期にサムスン電子と超巨大AIサービスに最適化された半導体ソリューションを披露する。超巨大AIサービス運営費削減のための軽量化技術も研究しており、7月には新技術を適用した企業向け超巨大AI「ハイパークローバーX」を公開する。
他の企業が超巨大AI商用化に乗り出したのとは異なり、ネイバーはすでに500社余りの企業にハイパークローバーを提供中だ。クラウド基盤AI生態系拡張も本格化しつつあり、AIに特化した半導体とクラウドが加わることになれば、企業の費用負担が軽減できると予想されている。
移動通信各社もAIフルスタックの競争力強化に取り組んでいる。SKテレコムは、SKハイニックス・SKスクエアと計800億ウォン(1ウォン=約0.1円)を共同投資して設立したAI半導体企業「サピオン」で、年内に新型AI半導体「X330」を発売する。KTクラウドはAI半導体スタートアップ「リベリオン」と手を組み、来月、GPU(画像処理半導体)よりも低電力・高性能の「NPU」(AIの処理に特化したプロセッサー)を披露する。
カカオエンタープライズは「フリオサAI」と提携する。「カカオiクラウド」にフリオサAIのウォーボーイNPUを装着し、韓国スタートアップ「ePopソフト」の「マルヘボカ辞典」AIサービスを提供する。
ICT業界がAIに特化した半導体開発に乗り出した理由は、GPU自体が高価であるうえ、莫大な電力消耗で運営費用が膨大なためだ。業界によると、データセンターでは8つのA100GPUで構成されたDGXA100を主に使っているが、エンジニア技術支援と管理運営費まで含めれば4億ウォン(約4000万円)程度かかるという。
また、チャットGPTは検索1回当たり約2セント(約26ウォン=約2.6円)の費用がかかるため、1億人が月に10回だけ利用しても月に260億ウォン(約26億円)となる。
KTクラウドのユン・ドンシク代表は「世界的にAIに消耗される電気量が限界に達した。本当のAI時代が来るためには費用、電力効率的なAIインフラが不可欠だ」と強調している。
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