韓国の食品大手「CJ第一製糖」と同国最大のオンライン小売「クーパン」がマージン率をめぐり神経戦を繰り広げている。メーカーと流通会社の価格決定権をかけた攻防という側面もあり、業界関係者は固唾をのんで推移を見守っている。
クーパンで販売するCJ関連製品の売り上げは年間200億~300億ウォン(約21億~31億円)で、食品カテゴリーの30%以上を占める。
クーパンは通常、供給業者が供給量と価格を提案すれば、流通費用と手数料を加えて年単位でマージン率を策定する。ただ両社は今年に入り、主要製品の供給量と価格をめぐり対立を深め、年間契約が締結される11月の段階で、マージン率に対する見解の違いが大きくなっていた。
◇クーパンへの納品率50~60%
この状況のなか、クーパンは最近、CJ第一製糖の主力製品であるレトルトご飯とビビゴ餃子、キムチなどの発注を中断した。在庫が使い果たされた段階でクーパンでの販売が中断されることになる。
中断の理由について、クーパン側は「CJ第一製糖が約束した商品数を供給しなかった」と主張する。今年に入ってCJ第一製糖のクーパンへの納品率は50~60%にとどまっていたという。
また、CJ第一製糖は2月にコチュジャン・味噌・サムジャンやビビゴ餃子などの値上げ要求をするなど、今年に入って5~6回、価格引き上げを求めている。その理由について、CJ第一製糖側は「原材料価格上昇、ウォン安、諸経費の急増で、原価負担が大きく増えた」と伝え、クーパン側はすべて受け入れたという。それでもCJ第一製糖側は約束した商品数を供給しなかった、とクーパン側は主張している。
◇“流通業者によるパワハラ”
一方、CJ第一製糖側は先月30日、「クーパンが高いマージン率を要求した。それを受け入れなかったため、一方的な発注中断に遭った」との理屈を前面に押し出し、“流通業者によるパワハラ”があったとしている。
クーパンは2019年にも、化粧品・生活用品大手「LG生活健康」が不当な取引を強要したという理由で公正取引委員会に申告し、LG生活健康製品を「ロケット配送」(例えば就寝前に注文すると出勤前に届くサービス)リストから除外したことがあった。
CJ第一製糖は、クーパンへの納品率は「他に比べて高い方だ」と主張する。即席ご飯の特性上、eコマースを通じて大量購入する消費者が多く、クーパンロケット配送を利用する割合も高い。したがって、クーパンへの供給を減らす理由はないという。
CJ第一製糖側は「クーパンが年内の契約が残っているほぼすべての食品の発注を中断したのは事実。消費者が不便を強いられており、遺憾だ」と話している。
◇CJの市場支配力
クーパンが発注を中断するという深刻な事態に陥ったのに、CJ第一製糖側が立場を変えない背景には、同社が持つ市場支配力がある。
CJ第一製糖のレトルトご飯とビビゴ餃子などのヒットブランドは、オンライン食品市場で30%以上の市場シェアを占めている。レトルトご飯の場合、即席ご飯市場で70%以上のシェアだ。
クーパンで商品を販売できなくても、自社モールのほか、新世界グループの統合オンラインモール「SSGドットコム」、通販サイト「Gマーケット」、韓国シェアナンバー2の「11番街」など、多様なeコマース業者を活用できるという状況にあるためだ。
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