2024 年 11月 28日 (木)
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韓国AIロボット“最適温室”でトマトづくり

農村振興庁国立農業科学院が研究・開発中の収穫ロボット(写真=農振庁提供)(c)NEWSIS

韓国での農村人口減少と高齢化による人手不足問題を解消するため、農村振興庁国立農業科学院がロボットを活用した農業生産無人化を図っている。防除(病害虫を防ぎ雑草を取り除く)から生育管理、収穫、運搬まで、すべての農作業をAIロボットが担うという試みだ。

◇1台で2人分以上

韓国全羅北道(チョルラプクド)完州郡(ワンジュグン)にある同科学院の先端デジタル温室。外は雪が降る氷点下なのに、内部は暖かい。果菜類が育つ一定温度に維持されているからだ。

デジタル温室では、情報通信技術(ITC)を使い、AI技術を融合させて、温度・湿度・日照量などを自動で調節している。エネルギー効率を高め、果菜類が順調に最適な環境を提供している。

農村振興庁国立農業科学院が研究・開発中の防除ロボット(写真=農村振興庁提供)(c)NEWSIS

その温室で動いているのが防除ロボット。ミニトマトの幹は、高さが人の背をはるかに超えるが、防除ロボットはそれを問題にせず、床に敷かれたマグネチック線に沿って動き、一定の速度で防除作業を進めている。

「1000坪の温室であれば、人間なら2人がかりで2時間半はかかる作業だ。防除ロボットなら1台で1時間30分でやり遂げてしまう」。同科学院スマートファーム開発課農業研究士のキム・ギョンチョル氏はこう説明する。もちろん、長時間にわたる連続作業も可能だ。

農村振興庁国立農業科学院が研究・開発中の予測ロボット(写真=農村振興庁提供)(c)NEWSIS

◇最終的には収穫まで

トマトが育つ他の温室では、予測ロボットが忙しく動いている。

トマトが熟した度合いを測定し、収穫に最も適した時期がいつなのかを予測するための情報を提供する。

ロボットに取り付けられたカメラでトマトの映像を撮る。すると、AI技術によって催色期(輸出用)、桃熟期(内需用)、完熟期などの6段階で熟度を判別する。キム・ギョンチョル氏は「予測ロボットの認識精度は約94%、熟した程度の測定精度は98%に達する」と強調する。

さらに、トマト収穫のためにかごを持ち歩く手間も省ける。

人間が収穫する速度・動きに合わせて、運搬ロボットが一定距離を維持したままついてきて、収穫したトマトを運搬する。人の手ならば最大80キログラム程度だが、運搬ロボットなら320キログラムまで積載できる。

農村振興庁国立農業科学院が研究・開発中の運搬ロボット(写真=農村振興庁提供)(c)NEWSIS

最終的には収穫までロボットが担うというのが目標だ。

農業科学院は既に、収穫ロボットに関する商用化前の性能検証や試作品開発を完了している。収穫時期を迎えたトマトをつかむための「ソフトグリッパー」を取り付けている。2024年までに熟練農業従事者の動作にならった収穫ロボットを開発したい考えだ。

世界のロボット市場は2021年の141億ドル(約2兆円)から2026年には288億ドル(約4兆円)に成長すると予測されている。オランダなど欧州の農業先進国は農業ロボットを導入し、生産性と品質競争力を引き上げている。

先端デジタル温室に農作物を植えておけば▽防除ロボットが自動的に病害虫を防ぎ▽予測ロボットが収穫期が到来したかを判別し▽収穫ロボットと運搬ロボットが収穫・出荷する――という未来農業が現実に近づく日も遠くない。

(c)NEWSIS

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