
人工知能(AI)が研究仮説の提示から検証まで担う――。韓国のバイオ研究現場では、すでに「AI中心」の変革が進みつつある。
例えば「麻酔薬や鎮痛剤が人体に及ぼす影響を調べる必要がある」と入力すると、実験可能な研究仮説が100件以上提示される。さらにAIの誤情報(ハルシネーション)を検証できるよう、関連文献も根拠として提示される仕組みだ。
こうした技術は、AIを基盤としたバイオ研究の現場で実際に活用されている。政府が国家的課題の解決を目指す「Kムーンショットプロジェクト」を始動させる中、AIバイオ分野の企業現場を訪れ、意見の収集を進めている。
科学技術情報通信省のク・ヒョクジェ第1次官は19日午後、AIバイオプラットフォーム企業「バイオネクサス」を訪問した。
現場では、AI科学者のデモンストレーションが披露された。研究に必要な仮説を提示するなど、基礎研究の初期段階を自動化し、時間とコストの削減を図る仕組みだ。生成された仮説には倫理面や生物学的観点から評価が付けられ、他の仮説と比較して順位付けもなされる。
バイオネクサスは、分析時間を最大80%短縮することを目標に、AIとデータを融合した「AI科学者プラットフォーム」の開発を進めている。研究から診断、治療に至るまでの全過程をより迅速かつ正確にし、利用のしやすさの向上も狙う。
特に、韓国のAI半導体企業「リベリオン」や、AI基盤モデルを開発するスタートアップの「アップステージ」と協力し、統合型AI製品の実現を目指している。リベリオンの神経網処理装置(NPU)とアップステージのAIモデルを活用し、2026年上半期中にコスト効率に優れた最適化プラットフォームの構築を進める計画だ。高コストなGPU中心の構造に比べ、研究者がAIを利用しやすくする狙いがある。
また、韓国基礎科学支援研究院や韓国生命工学研究院など国内研究機関との連携も進めている。
バイオネクサスのキム・テヒョン代表は「アルファ碁から約10年が経過し、当時は将来AIが人間を超えると予測されていたが、現在は囲碁ではなくバイオ分野の複雑な問題に挑んでいる」と指摘。「2026年中にも、100年に一度の天才科学者ではなくAIが科学的難題を解決する時代が到来するだろう」との見方を示した。
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