
「おいにあげるお年玉と両親へのお小遣いを用意するために来ました。新年にはきれいなお金を渡したくて」
ソウル市広津区から来たクク・ヘビンさん(27)は、726番と記された整理券を手に笑顔で語った。「市中銀行では新券がほとんどなくなっていて、直接、韓国銀行に来た」
旧正月連休を翌日に控えた13日、ソウル市中区の韓国銀行別館1階発券窓口には、ククさんのほかにも約40人の市民が「ぴんと張った新券」を求めて並んでいた。江北区水踰洞から訪れたチョンさん(56)も、子どもやおいに新券のお年玉を渡す「長年の慣習」を守るため、順番を待っていた。
カードやモバイル決済が主流となった時代でも、旧正月を前にすると現金需要は依然として大きく増える。子どもの手に握られるお年玉は、どこで生まれ、どのような経路をたどって私たちの手元に届くのか。その流れを追った。
◆旧正月前に4兆8000億ウォン供給…出発点は韓銀金庫
韓国銀行によると、旧正月を控えた2月2日から13日までの10営業日間に、金融機関へ計4兆8000億ウォン規模の現金を供給した。
出発点は韓国銀行本館地下の大規模金庫。市中に流通する紙幣や硬貨は、すべてここを経由する。正確な保管額は非公表だが、10兆ウォンを超える資金が保管されているとされる。
金庫内の資金は「発行準備資金」として管理され、まだ市中に出ていないため通貨量には含まれない。紙幣はまず大田にある韓国造幣公社で印刷・鋳造される。その後、韓国銀行が受け取り、需要が高まる旧正月や秋夕の時期に合わせて市中銀行へ送り出す。
造幣公社で製造された紙幣は、偽造防止装置や印刷状態の検査を経て、厳重な警備のもと韓国銀行に輸送される。

◆金庫→銀行→市中→再び金庫…現金の循環構造
旧正月や秋夕は、年間で最も現金需要が高まる時期である。連休前には市中銀行があらかじめ韓国銀行に新券を申請する。韓国銀行が各支店へ供給し、銀行窓口やATMを通じて市民の手に渡る。子どもが受け取るお年玉の多くは、こうした経路をたどった新券だ。
もっとも、連休中に出回る紙幣がすべて刷りたてというわけではない。一度流通し、回収された紙幣のうち状態の良いものも再び使われる。製造コストを抑えるため、新券と再利用紙幣を併用する仕組みだ。
重要なのは、韓国銀行の金庫内にある紙幣は「未発行通貨」だという点だ。金融機関が引き出した瞬間に発行額として計上され、「本源通貨(ベースマネー)」が増加する。連休後は逆の流れとなる。お年玉として受け取った現金は消費や預金に回り、商店も売上金を銀行へ預ける。
銀行に集まった現金のうち、必要水準を超える分は再び韓国銀行に戻され、発行準備資金に組み込まれる。これにより、連休中に一時的に増えた発行残高は自然に調整される。現金が金庫に戻ると通貨統計には算入されなくなるため、需要減少とともに発行残高も減る仕組みだ。
韓国銀行関係者は「通貨の発行と回収は中央銀行が恣意的に操作するものではなく、国民の現金需要に応じて動く構造だ。連休には発行が増え、その後は預金を通じて回収される流れが繰り返される」と説明した。

◆現金増加で偽札にも警戒
現金取引が増える連休期には、偽札への警戒も必要だ。2025年に発見・申告された偽造紙幣は98枚だった。件数は減少傾向にあるが、注意は欠かせない。
5万ウォン札は左側の帯状ホログラムを傾けると、角度により韓国地図や太極、四卦模様が交互に現れる。中央の立体型部分露出銀線も、傾けた際に太極模様が上下左右に動くか確認できる。光に透かすと申師任堂の肖像が浮かび、触れると凹凸が感じられる。
1万ウォン札も同様に、白と緑の境界部のホログラムを傾けると地図や太極、「10000」、四卦模様が交互に見える。光にかざすと世宗大王の肖像が現れ、触覚で独特の凹凸を確認できる。
連休のにぎわいの裏で、現金は中央銀行の金庫から家庭へ、そして再び金庫へと循環している。子どもの手に渡る一枚の新券にも、こうした経済のダイナミズムが刻まれているのである。
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