2025 年 5月 5日 (月)
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韓国野党“弾劾ドライブ”で経済司令塔不在に…トランプ関税・景気後退リスクの中、広がる懸念

チェ・サンモク(崔相穆)前経済副首相兼企画財政相(c)news1

韓国で野党主導による弾劾案提出の動きを受け、チェ・サンモク(崔相穆)経済副首相兼企画財政相が辞任したことで、韓国経済の「司令塔」が不在となる異常事態が発生した。アメリカとの通商協議や景気後退リスクが高まる中での突然の空白に、政府内外から懸念の声が相次いでいる。

チェ副首相は1日午後10時28分、国会本会議で自身に対する弾劾訴追案が上程された直後に辞意を表明。その15分後には辞表が受理された。

大統領権限代行だったハン・ドクス(韓悳洙)氏も同日に大統領選出馬のため首相を辞任しており、当初、ハン代行の後任としてチェ氏が大統領権限を引き継ぐ予定だった。しかしチェ氏の辞任により、イ・ジュホ(李周浩)社会副首相兼教育相が「大統領権限代行の代行の代行」を担う事態に発展した。

問題は、この政治的混乱が極めて深刻な経済情勢と重なっている点にある。現在、韓国はアメリカとの間で互いに関税をかけ合う「関税戦争」の回避を目指して通商協議を進めている最中であり、政府のトップ交渉責任者である経済副首相の不在は、交渉力に大きな打撃となる。

当初は、ハン氏の首相辞任後の通商協議の指揮をチェ氏が担う予定だった。チェ氏は先週、アン・ドクグン(安徳根)産業通商資源相とともに米首都ワシントンを訪れ、アメリカ側との直接協議にも参加していた経緯がある。

そのチェ氏が不在となったことで、7月の「包括合意パッケージ」(July Package)を目指す交渉の中で、アメリカ側の圧力を一手に引き受けるのはアン氏となった。関税や非関税障壁、経済安全保障、投資協力など多岐にわたる議題を抱える交渉において、韓国側の調整力が著しく低下する可能性が指摘されている。

また、インフレや雇用、景気対策といった国内経済政策の調整機能も打撃を受けることが懸念される。経済副首相は関係省庁を横断して政策を統括する「コントロールタワー」の役割を果たしており、不在が長引けば混乱が拡大しかねない。

さらに、相次ぐ弾劾と政局混乱は韓国の対外的な信用にも悪影響を及ぼす。世界の信用格付け会社や金融機関が、チェ氏の副首相辞任を「政治不安の高まり」と評価し、韓国リスクを再評価する恐れもある。

(c)news1

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