
韓国の大手造船・防衛産業企業ハンファオーシャンとHD現代重工業の「ワンチーム」が、最大60兆ウォン規模に達するカナダの潜水艦調達プロジェクトで受注候補に残り、国内造船・防衛産業の期待が高まっている。ハンファオーシャンは競合の独ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)より早い納期を武器にカナダ政府を攻略する考え。提案した潜水艦の国産化率は80%に達し、造船業界に加え防衛産業界への恩恵も見込まれている。
今回の案件はカナダ海軍が現在保有する2400トン級「ビクトリア級」潜水艦4隻を更新する事業で、総計12隻を対象とする。韓国勢は2025年3月に共同提案書を提出し、最終候補に選ばれた。ハンファオーシャンは契約が成立すれば2035年までに4隻を納入可能と提示している。TKMSが2034年に1隻、2037年に2隻を納入とする計画に比べ、より迅速かつ多量の供給を打ち出した。
この潜水艦「張保皐3バッチ2」には、韓国防衛企業の装備が大規模に採用される。ハンファシステムは艦の戦闘システムを、LIGネクスワンはソナーや海洋兵装を、ハンファエアロスペースはリチウム電池システムを供給する。調達が実現すれば関連企業への波及効果は大きいと予想される。
さらに今回のカナダ受注は、ポーランドの「オルカ」潜水艦調達事業(約8兆ウォン規模、3隻)や、サウジアラビア、東南アジア、南米諸国での艦艇需要にも弾みをつけると期待されている。
一方で、韓国型次世代駆逐艦(KDDX)事業などを巡ってHD現代とハンファオーシャンの間に競合関係が存在することがリスクとされる。両社はポーランド案件にも共同参加しているが、提案する艦の仕様が異なるため、今後の調整が課題となっている。
受注が実現すれば、韓国造船業界は世界市場での存在感をさらに高め、防衛産業の輸出拡大にもつながると見込まれる。
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