2025 年 2月 21日 (金)
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韓国軍首脳部の空席70日超…リーダーシップ不在と政策停滞に懸念

国会国防委員会の全体会議に出席するキム・ソンホ(金善鎬)国防相職務代行(c)news1

昨年12月3日の「非常戒厳」宣布以降、韓国国防相と主要軍司令官のポストが70日以上にわたり空席となっている。戒厳後の萎縮した軍の雰囲気を打開し、安定した政策推進の動力を確保するためには、まず新たな国防相を任命し、リーダーシップの空白を埋めるべきだとの声が高まっている。

韓国憲政史上、大統領権限代行が閣僚などの政府高官を任命した例はほとんどなく、人事に関する与野党の協議が停滞していることも課題となっている。

◇軍指導部の空席が長期化…「K-防衛産業」への影響も懸念

現在、職務代行または職務代理が務めている軍の主要ポストは、国防相、陸軍参謀総長、首都防衛司令官、防諜司令官、特殊戦司令官、情報司令官の計6ポストに及ぶ。

国防省はもちろん、国家安全保障と直結する主要な軍指導部がリーダーを失い、リーダーシップの空白状態に陥っている。そのため、新たな政策や事業を積極的に推進するよりも、既存体制の維持に重点を置く「現状維持」の雰囲気が軍内に広がっている。特に、防諜司令部や特殊戦司令部など、非常戒厳時に直接任務を遂行した部隊では、戒厳に関する捜査が実務レベルにまで及び、軍内部の士気が低下しているとされる。

キム・ソンホ(金善鎬)国防相職務代行(次官)は、11日の国会国防委員会全体会議で「軍のリーダーシップの不在が長期化すれば、軍の戦備態勢に重大な影響を及ぼす」と懸念を表明。「指揮官は戦闘準備と部隊管理を実際の状況に即して維持すべきだが、代行体制では重要な決断を下すことが難しい」と述べた。

韓国の主要産業の一つである防衛産業(K-防衛産業)については、現時点ではリーダーシップ不在の影響は大きくないとされる。しかし、防衛産業は政府間取引(G2G)の比重が高く、大統領や国防相が海外歴訪を通じて輸出促進に貢献してきたことから、人事の不確実性を早急に解消すべきだとの指摘が相次いでいる。

国会国防委員長のソン・イルジョン議員(国民の力)は10日、「防衛産業は政府が主導すべき重要な事業である」とし、「共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表もK-防衛産業の重要性を強調している以上、早急な国防相の任命に協力すべきだ」と述べ、速やかな人事決定を求めた。

◇国防相任命が鍵…与野党の合意が不可欠

新たな国防相を任命する必要性が高まっているのは、まもなく軍の将官人事シーズンが到来するためでもある。韓国軍の将官人事は通常、春と秋の年2回実施されるが、閣僚不在のままでは主要指導部の人事を決定できず、かえって混乱が生じる可能性がある。

次期国防相の候補としては複数の名前が挙がっているが、有力な本命はまだ定まっていない。2023年12月にキム・ヨンヒョン(金龍顕)氏が国防相が解任された後、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は後任に陸軍大将出身のチェ・ビョンヒョク前駐サウジアラビア大使を指名したが、チェ氏が辞退したため、新たな候補者の選定が進められている。

また、元陸軍中将のハン・ギホ議員(国民の力)や、国会国防委員会委員長のアン・ギュベク議員(共に民主党)も一時候補に挙がったが、確定には至っていない。

一部では、ユン大統領が職を辞する場合、国防相の交代が不可避となるため、現在の国防省を安定的に管理しているキム・ソンホ氏が適任だとの声もある。

ただし、現在の状況では、権限代行として人事権の行使が難しいチェ・サンモク(崔相穆)大統領権限代行が決断を下すためには、与野党の確実な合意が必要だとの指摘もある。

(c)news1

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