韓国軍が運用する中型特別作戦用ヘリ「ブラックホーク(UH-60)」の性能を向上させる改良事業が本格的に始動する。約9613億ウォンの予算を投入し、航空電子システムのデジタル化や機体の機動性向上を目指すプロジェクトで、韓国航空業界を巻き込んだ受注競争が激化している。
防衛事業庁は、1月15日に政府果川(クァチョン)庁舎でUH/HH-60の性能改良事業に関する説明会を開催する。この事業は契約締結後84カ月間実施される。対象となるのは韓国軍が1990年代から運用しているUH-60「ブラックホーク」とその改良型であるHH-60だ。事業の目的は、ヘリの作戦遂行能力を向上させることで、航空電子システムのデジタル化や新たな機体構造の開発が含まれる。
UH-60は1974年に米シコルスキー社が開発した中型多目的ヘリで、世界30カ国以上で運用されている。一方、HH-60はUH-60を基に改良された機種で、特殊任務に対応する装備が追加されている。
この事業には、大韓航空と韓国航空宇宙産業(KAI)が参加し、受注を巡る激しい競争が予想されている。
大韓航空は、過去30年以上にわたり、韓国軍と米軍向けにUH-60のライセンス生産や整備を担ってきた実績があり、特に整備と性能改良における専門性で高い評価を得ている。同社は航空電子装備や通信システムを手掛けるLIGネクスワンと協力体制を組んでいる。
一方、KAIは国産ヘリ「スリオン」や「ミロン」の設計・生産経験を活かし、改良事業に必要な設計や試験分野で強みを持つ。同社は、航空電子システム開発を担うハンファシステムや、改造・開発を担当するイスラエルのエルビットシステムズと連携している。
政府関係者は、このプロジェクトが軍の作戦能力を向上させるだけでなく、防衛産業の発展や雇用創出にも寄与すると期待を示している。
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