韓国でトランスジェンダー=出生時の戸籍の性別と性自認(自身が認識する性別)が異なる人=の軍服務を認める場合、入隊前に手術を終えて法的に性別を変更した人に限定すべきだという国防省傘下の研究機関の政策提言が出た。
韓国国防研究院(KIDA)は2021年に国防省が発注した「性転換者の軍服務」に関する研究を最近終え、こうした内容の報告書を提出した。
今回の研究で性転換者の軍服務に対する賛否は明示していないが、KIDAは性転換者の軍服務を認める場合と認めない場合の2つの状況を仮定し、国防省に政策の選択肢を提供した。
このうち性転換者の軍服務を認める場合は「入隊前に性転換手術を完了し、法的性別を変更した人に限る」という意見を示した。
これは性転換者の軍服務に対する、将兵の否定的な認識や法的問題発生の素地を勘案したもので「軍服務中に性転換した場合にはこれ以上服務を許容しない」ことを意味する。
KIDAが今回の研究で現役兵、幹部、国民を対象に調査したところ、約7対3の割合で性転換者の軍服務に「反対」の意見が多かったという。
ただ、国民対象の世論調査では「軍服務に支障がなければ性転換者の服務を制限的に認める」という意見が「認めてはならない」より優勢であることがわかった。
これに関連し、KIDAは性転換者の軍服務を認めることになれば、その範囲を「入隊前の性転換完了」から「軍服務中の性転換」にまで徐々に広げていく案も合わせて提示している。
また、軍内の性関連犯罪の予防のために性転換将兵が使うシャワー室・トイレなどを別途に整備する案も検討するよう提言した。
こうした中、軍当局は今年末ごろには、性転換者の軍服務認定を前提に研究に着手する予定だという。
性転換者の軍服務に関する海外事例を調べるため、性転換者の軍服務を許可している米国に出張団を派遣したのに続き、下半期には同様の対応を取っているイスラエル出張も計画している。
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